耳よりだより

健康長寿の秘訣は趣味にあり!高齢者におすすめの趣味と選ぶポイント

趣味は、どの年代においても、人生に彩りや豊かさを与えてくれるものです。
特に高齢者にとっての趣味は、心身の健康に良い影響をもたらし、長寿につながると考えられています。

シニア世代になると、仕事の引退や子どもの独立などで自由に使える時間が増えます。
時間に余裕ができた今だからこそ、興味があるものに取り組んでみてはいかがでしょうか。
どのような趣味でも、始めるのに遅すぎるということはありません。

今回は、高齢者におすすめの趣味や、趣味を選ぶときのポイントをお伝えします。

高齢者が趣味を持つことで得られる効果

高齢者が趣味を持つと健康長寿につながるとされています。
それは、趣味を持つことで次の4つの効果が得られるからです。

  • 生きがいができる
  • 運動不足の解消になる
  • 認知症の予防
  • 新しい友人ができ、交友関係が広がる

生きがいができる

趣味があると、生活に生きがいを感じられるようになります。
なぜなら、毎日やることや目標ができるからです。

シニアになり自由時間が増えても、やることがなければダラダラと一日が過ぎてしまいます。「食事、TV、風呂、寝る」を繰り返すだけでは、生きがいは感じにくいでしょう。

「令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果」では、「趣味やスポーツに熱中している時」に生きがいを感じるという回答が多く見られました。
どのような趣味でも、楽しんだり、興味を持てるなら、立派な生きがいになります。

加えて、先述の調査結果では以下の2つが明らかになっています。
 

  • 生きがいがある人ほど、健康状態が良い
  • 健康状態が良い人ほど、生きがいを感じる割合が高い

このことからも、生きがいが健康長寿に良い影響をもたらしているといえるでしょう。

運動不足の解消になる

趣味は、運動不足の解消につながります。体を動かしたり、外出したりする機会が増えるからです。

体を動かす運動系の趣味だと、基礎体力の向上のほか、筋力アップや骨粗しょう症予防の効果が期待できます。
室内で行う文化系の趣味であっても、趣味活動に必要な道具の用意や片付けなどで、日常生活よりも体を動かすことが増えるでしょう。

現役を引退した高齢者は、外出する機会が減ることから、どうしても運動不足になりがちです。だからこそ、趣味を持つことで外出するきっかけを作ることが大切です。

認知症の予防

高齢者の趣味活動は、認知症の予防効果が期待できます。脳を使うことが増え、脳の活性化につながるとされているからです。

▼認知症を予防する行動

  • 外出する
  • 指先を使う
  • 人と交流する
  • 会話する

趣味と認知症との関連を調べた研究によると、趣味を持つ人は認知症の罹患リスクが低いことが分かっています。

趣味を持つことで、自然と認知症予防の行動を取るからと考えられます。

参考:趣味と要介護認知症との関連について | 現在までの成果 | 多目的コホート研究

新しい友人ができ、交友関係が広がる

趣味を持つことは、交友関係を広げるきっかけになります。共通の趣味を持った新しい友人を作る機会を得られるからです。

シニア世代になるころには、どうしても人間関係が限定的になってしまうことでしょう。学生時代の友人とは疎遠になり、ご近所付き合いや仕事関係で交流があった人のみの交友関係になってしまうことは珍しくありません。

そこで、シニア世代になったときに新しい趣味を見つけることで、共通の好みを持った友人を作ることができます。新しい交友関係を育むことは、認知症の予防につながるだけでなく、日々の充実度を向上させて豊かな生活を送ることにつながります。

高齢者におすすめの趣味10選

ここでは、高齢者におすすめの趣味を「室内でできる趣味」「室内外で身体を動かす趣味」に分けてご紹介します。

俳句/川柳

短い言葉でさまざまな世界を表現する俳句や川柳は、脳のトレーニングになります。
紙とペンがあれば、いつでも気軽に始められるのが嬉しいですね。

俳句や川柳を作る人は、四季の変化や日常生活の出来事に敏感になります。「きれいだな」「前と変わったな」などと心が動くので、自然と認知機能を鍛えられます。

作品を新聞や雑誌に投稿したり、仲間と同人誌を作ったりすると、作品づくりの励みになり継続しやすいのも魅力です。

大人の塗り絵

高齢者の趣味として人気が高いのが、大人の塗り絵です。
大人の塗り絵は、子どもの塗り絵よりも繊細で複雑なため、塗るだけでアート作品のようになります。

細かく塗り分けていくため時間や手間はかかるものの、完成すると大きな達成感や満足感が得られます。

ちぎり絵

ちぎり絵とは、台紙にちぎった紙を貼りつけて作り上げる絵のことです。
指で紙をちぎる作業は、手先の運動になります。色の組み合わせや配置を考えることも、脳への刺激になるでしょう。

「一から作品を作り上げるのは難しそう」と不安であれば、下絵にちぎった紙を貼っていく方法がおすすめです。ちぎってできるパーツは人それぞれ違うため、たとえ同じ下絵であっても個性豊かに仕上がります。

囲碁/将棋

頭脳ゲームである囲碁や将棋は、認知症予防に効果的です。どちらも「先を読む力」が必要なので、ゲームをしながら思考力や記憶力を高めることができます。

一人で楽しむ詰め将棋もいいですが、対人で行うと局面を読んだり対戦相手との駆け引きによって頭を使うため、脳の神経細胞がより活発になります。

楽器演奏

音楽は、リラックス効果があり、演奏することによるストレス発散効果も期待できることから、高齢者に最適な趣味のひとつです。

若い頃に夢中になった楽器があれば、じっくり取り組んでみるのもいいでしょう。憧れのままで終わっていた楽器があれば、この機会に挑戦してみませんか。

演奏や練習する場所の確保が難しい場合は、ヘッドホンにつないで演奏できる電子ピアノやサイレントギターなどを選ぶといいでしょう。

ウォーキング・ランニング

ウォーキングやランニングを趣味にすると、適度な運動になります。
見慣れた風景であっても季節や気分によって見え方が異なるので、楽しみながら続けられるでしょう。

また、ウォーキングやランニングは自分のペースで無理なく行える点もシニア世代にぴったりです。朝の運動は、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが活性化するので、一日を良い気分で過ごせるようになります。

ガーデニング

自然を感じ、五感をフルに使うガーデニングには、感性を豊かにしてくれる効果があります。心の安定が得られるとともに脳を活性化させるので、認知症の予防効果が高いといわれます。

さらに、肥料を運んだり雑草を抜いたりと、意外にも体を使うことから運動不足の解消に役立ちます。

ボランティア活動

ボランティア活動は、適度に体を動かし人や社会とかかわるため、シニア世代の健康維持に最適です。
ボランティアと一口にいっても、さまざまな活動があります。
▼ボランティア活動の一例
  • 美化活動(ゴミ拾い、清掃、自転車置き場の整理など)
  • 防犯・安全(パトロール、子供の登下校の見守り)
  • 昔遊びの継承(コマ回し、竹とんぼ、輪投げ、お手玉など)

ボランティア活動は、引きこもりを防止し、居場所作りに役立ちます。社会貢献につながるため生きがいを感じやすいので、シニア世代におすすめです。

カラオケ

シニア世代に絶大な人気を博すカラオケ。大きな声を出して歌うことはストレス発散になるだけでなく、心肺機能を使うため血液の循環もよくなります。

また、他人と一緒に楽しむことで触れる曲目が増え、脳が刺激されます。歌詞を覚えたり、曲の情景を思い浮かべたりすると、さらに右脳が活性化するでしょう。カラオケはデイサービスでも人気があります。

グラウンド・ゴルフ

グラウンド・ゴルフは、日本で高齢者向けに考案されたスポーツです。
ゴルフのようにボールをクラブで打ち、カゴのようなポストにボールを入れるまでの打数を競い合います。体力を必要とせず、ルールも簡単であることから、初心者でもすぐに取り組めるのが魅力です。

足腰の筋力低下を予防するほか、骨に刺激が伝わることで骨粗しょう症の予防効果が期待できます。

習い事は「公民館」や「自治会館」を活用しよう

「何に興味があるのか、自分でもよく分からない」
「1人だと継続できるか不安がある」

このように感じる人は、習い事を始めてみるのはいかがでしょうか。
習い事ができるスクールはたくさんありますが、高齢者は公民館や自治会館などの活用がおすすめです。

公民館を含む地域の公共施設では、地域住民のための活動の場としてさまざまな講座やサークル、イベントが開催されています。

シニア向けの講座やサークルも多く、同世代の仲間を作りたいという人にぴったりです。
何より、公共施設で開催されるものは費用負担が少なく済むのもうれしいですね。

公民館での講座やサークルについては、施設内の掲示板を確認しましょう。
市区町村の窓口や地域包括センターで相談してみると、興味のある習い事が見つかるかもしれません。

高齢者が趣味を選ぶときのポイント

最後に、高齢者が趣味を選ぶ時のポイントを3つお伝えします。

本人が興味を持てるか

1つ目のポイントは、「本人が興味を持てるか」です。

興味が持てないことは、趣味として続きません。
興味がないことに取り組んでも生きがいや認知症予防にはつながりにくいでしょう。

「お友達に誘われて始めたけれど、楽しくない」
「家族にすすめられてやってみたけれど、全然興味を持てない」

このように感じるなら、思い切ってやめてみることをおすすめします。興味がないことを無理に続けると、ストレスになってしまうからです。

趣味は、「自分が興味を持てるかどうか」を意識して選ぶといいでしょう。

1人で取り組めるか

2つ目のポイントは、「1人で取り組めるか」です。
家族や周囲の助けがなければ実践できない趣味だと、自分のタイミングで取り組めません。

たとえば、家族の送迎がなければ続けられない趣味の場合、週に何回も行うとなると家族が予定を合わせるのも大変です。

そのため、1人で取り組めるかどうかも趣味を選ぶ時の大きなポイントとなります。

心・体・お金の負担が大きくないか

3つ目のポイントは、「心・体・お金の負担が大きくないか」です。
この3つのいずれかの負担が大きいものは、やはり継続しにくいからです。
  チェックポイント
心の負担が大きい
  • つまらない
  • イライラする
  • ネガティブな気持ちになる
  • ストレスがたまる
体の負担が大きい
  • とても疲れる
  • 痛みやしびれ、違和感などがある
お金の負担が大きい
  • 道具代がかかる
  • 交通費がかかる
  • 月謝がかかる

 

心・体・お金の負担が大きいと、心身の健康を損なう恐れがあるので、無理なく続けられるものを選びましょう。長く続けられるように、経済的な負担についても、あらかじめ検討しておくと安心です。

まとめ

高齢者が取り組みやすい趣味は、書道、生け花、盆栽、楽器演奏、フラダンス、お菓子作り、パソコンなど、たくさんあります。

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