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もっと知りたい!「成年後見制度」ってなに?

●お話/司法書士 的場順子先生
最近、新聞やテレビのニュースで「成年後見人」という言葉をよく耳にします。成年後見制度は、認知症や知的障害などにより、物事を判断する能力が十分でない方を法律的に支援する制度。急速な高齢化と共に注目されるこの制度について、司法書士の的場順子先生にご説明いただきました。
(的場先生のプロフィールはこちら:http://www.ohtagaki.jp/staff/staff1.html)


 

法定後見と任意後見の2種類がある

人は高齢になり判断能力が衰えてしまうと、それまで当たり前にやっていた財産管理ができなくなることがあります。そのような時に、家庭裁判所が選ぶ援助者が「成年後見人」で、選ばれた成年後見人は、本人の希望を尊重しながら財産の維持管理や必要な契約の締結を行います。これが「法定後見」です。  これに対し、将来、自分の判断能力が衰えたときに備え、あらかじめ代理人(任意後見人)を選んでおくのが「任意後見」。財産や身の回りのことに関する自分の希望を、信頼できる人に頼んでおくことができる、「老後に備える」制度です。


 

どうやって申立てするの?

申立てできるのは、本人、配偶者、4親等内の親族など。大半は本人の子どもや親類が行いますが、身寄りがない場合は市町村長などが行うケースも増えています。申立てられると、家庭裁判所は当事者から事情を聴き、本人の判断能力を精神鑑定により判定した上で、成年後見人・保佐人・補助人(※)のうちいずれかを選任します。

申立てには、申立人および本人の戸籍謄本、戸籍附票、登記事項証明書、医師による診断書などが必要です。申立て時には、印紙・郵便切手代が数千円かかり、精神鑑定をする場合は別途鑑定費用も必要になります(鑑定費用は10万円が目安。同じ医師に依頼できればもっと安くなることも)。

※ ・後見人:つねに自分で判断し法律行為を行うことができない人を保護
・保佐人:簡単なことはできるが判断能力が著しく不十分な人を保護
・補佐人:大体のことは自分で判断できるが難しい事項には援助がいる人を保護


 

成年後見人はどんなことをするの?

成年後見人の仕事には、①本人の財産を適正に管理する、②本人の身上監護に配慮する、③成年後見人として行った職務の内容を家庭裁判所に報告する、の3つがあります。
 

① 財産内容を正確に把握するため、本人の資産や収入を調査。財産目録および収支予定表を作成し、1ヵ月以内に家庭裁判所に提出します。万一、被後見人の財産を勝手に消費した場合は、業務上横領として刑事罰が科せられることもあり、あくまで「他人の財産」との意識を持って管理することが求められます。


② 本人の生活が立ち行くよう介護サービス等を手配。成年後見人とはいえ必ずしも被後見人を引き取って同居したり、直接的な身体介護をする必要はありません。身体介護は介護ヘルパーなどが行い、その手配などを成年後見人が行います。

③ 成年後見人は職務の内容(後見事務)を定期的に家庭裁判所に報告します。報告は、申立てのきっかけとなった事案の解決後も、基本的には本人が死亡するまで継続して行います


 

「ALSOKジョイライフ」では、弊社会報誌『ジョイプル』をお読みくださっている方々を対象に、不定期のセミナーを開催しており、今年5~6月のセミナーでは「成年後見制度」をテーマに取り上げる予定です。