動物とのふれあいに癒される「アニマルセラピー」
「アニマルセラピー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは人と動物との交流を治療などに役立てようとするもので、正確には「アニマル・アシステッド・セラピー (Animal Assisted Therapy)」といいます。
アニマルセラピーの歴史は古く、最も古いものでは紀元前400年、古代ローマ時代に負傷した兵士のリハビリに馬を用いたという記述が残っているとか。18~19世紀のヨーロッパでは、精神科疾患の治療に動物の世話が取り入れられたとの記録もあるそうです。20世紀に入るとアメリカやヨーロッパで動物を介在させる治療の研究が進み、私たちにとって最も身近な動物といえる犬を治療に介在させる「ドッグセラピー」の取り組みも本格化していきました。
ただ、日本で注目されるようになったのはまだ最近のこと。そこで今回は、医療や介護の現場で成果を上げているドッグセラピーについてご紹介します。
【ドッグセラピーのさまざまな効果に注目!】
ドッグセラピーとは、人が犬とふれあうことにより精神的・情緒的な安定や身体的な運動機能回復をはかることを目的とした活動。一口にセラピーといっても、本格的な治療行為から精神的な安定を求めるものまでさまざまあり、目的に応じてふさわしい訓練を受けた犬が活動します。 一般にドッグセラピーには次の3つの効果があるといわれます。
① 生理的効果…動物と接することで脳内に「ドーパミン」(楽しいという感情の源)という脳内伝達物質が分泌。リラックスした状態を作りだす「副交感神経」の働きも高まるといわれます。
② 心理的効果…動物とふれあった経験により楽しさや喜びの感情が甦り、抑うつ症状の改善が期待できます。
③ 社会的効果…犬を介して会話が生まれるなど、動物と接することにより人との交流が円滑になります。
ほかにも犬に話しかけたり頭をなぜることで、血圧が低下するという身体的変化もみられるそうです。
セラピードッグに用いられるのはラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバーなどの大型犬が多いですが、基本的に犬種の制限はありません。捨て犬や震災により行き場を失った犬たちも、十分な訓練を受けることでセラピードッグに成長でき、体に障がいがあっても克服して活躍している犬もいるそうです。何よりも“おもいやり”の心を持つ、それがセラピードッグにおいて最も重要な条件のようです。
【ドッグパワーで高齢者の表情が明るくなった!?】
人を元気にしたり、やさしい気持ちにさせてくれたり…。犬独特のパワーで癒してくれるドッグセラピーは、いまさまざまな場所で活用されています。最近では老人ホームでも実施するところが増えており、ドッグセラピーを体験した高齢者の表情に明るさが戻るなど、さまざまな効果が報告されています。高齢者が自ら犬にふれ、話しかけ、共に歩くといった行為が、心理的な部分に働きかけ、積極性を生み出すことにつながっているようです。
「ALSOKジョイライフ」が運営する介護付き有料老人ホームでも、ホーム主催のイベントなどでドッグセラピーを実施しています。
犬好きの方はもちろん、犬は苦手とおっしゃる入居者の方も、愛らしいワンちゃんたちとふれあううちに次第に笑顔になられるようです。
「ALSOKジョイライフ」ではこうしたイベントを活発に行いながら、ご入居者の方々の健康で快適な暮らしに貢献すべく日々努めています。