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エンディングノート(終活ノート)とは?書くべき内容とメリット

「もしものとき」に備えて、大切な人たちに自分の想いを残しておく――。いざというときに後悔しないためにも作成したいのが、エンディングノート(終活ノート)です。

「まだ先のことだから」「縁起でもない」と感じる人もいるかもしれません。しかし、「もしものこと」を考えることは、将来への不安を減らし、これから幸せに暮らすための道しるべになります。

この記事では、エンディングノートに書いておきたい内容やメリットについてわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

「エンディングノート」と「遺言書」の違い

エンディングノートとは、人生の締めくくりに向けて、自分の想いや大切な情報を記録しておくノートのことです。介護や葬儀の希望、所有する財産、家族や友人へのメッセージなど、自由に書くことができます。

ただし、エンディングノートには法的な効力がありません。たとえば、「孫に全財産をあげたい」と書いても、それだけで孫が全財産を相続できるわけではないのです。

「財産を誰に・どれくらい譲るのか」など、相続について指定するには、遺言書が必要です。遺言書に書かれた内容は法的な効力を持ち、「孫に全財産を相続させる」と書けば、実際に孫が相続できます。

エンディングノートと遺言書の違いを整理すると、以下のようになります。

エンディングノート 遺言書
目的 自分の情報の整理や想いの記録 財産分与や相続人などの指定
法的な効力 なし ある
書き方 自由 厳格な要件がある
開封のタイミング 自由 死後

つまり、エンディングノートは「希望や想いを伝える」、遺言書は「財産を引き継ぐための法的な文書」というように、異なる役割を持っているのです。

エンディングノートに書くべき8つの項目

エンディングノートの書き方には決まりがなく、あなたの自由に書いてよいものです。
とはいえ、せっかく書くのなら、いざという時に、実際に役立ててもらえるものにしたいですよね。

ここでは、エンディングノートに書いておきたい内容を8つの項目に分けて紹介します。

基本的な情報
  • 氏名
  • 生年月日
  • 家族関係(両親・兄弟姉妹・子どもなど)
  • 緊急連絡先
  • 本籍地
健康状態
  • 血液型
  • アレルギー
  • かかりつけ医
  • 持病(既往歴・現状歴)
  • 常用している薬
財産の情報
  • 預貯金
  • 金融商品(株式や投資信託など)
  • その他の資産(貴金属、著作権、会員権など)
  • 不動産
  • 借金やローン
  • 生命保険
医療の希望
  • 病名や余命の告知
  • 延命治療について
  • 臓器提供について
介護の希望
  • 介護を受けたい場所(施設・自宅など)
  • 介護をして欲しい人
  • 介護費用の負担について
葬儀やお墓の希望
  • 希望する葬儀の内容(宗派、場所、予算、喪主など)
  • 遺影の写真
  • 棺に入れて欲しい物
  • 葬儀に呼んで欲しい人・呼んで欲しくない人
  • 墓地の情報
  • 納骨方法(散骨、納骨堂など)
  • 墓の継承や管理について
死後に解約が必要な手続き
  • クレジットカード
  • 金融機関の口座から自動引き落としになっているもの
  • 携帯電話
  • サブスクリプションサービス
  • SNSやインターネットサービス
その他
  • 形見分け
  • ペットについて
  • 親しい人へのメッセージ
  • 処分して欲しいもの
  • 交友関係の連絡先
  • これまでの人生の振り返り

順番に確認していきましょう。

基本的な情報

氏名や生年月日、家族関係、緊急連絡先など、あなたの基本的な情報をまとめて記入します。
あなたにもしものことが起きた場合に、「誰に連絡すればいいのか」が一目でわかるようにしておきましょう。

健康状態

あなたの健康状態について、既往歴・現病歴などをできるだけ細かく記入しましょう。
かかりつけの病院や持病、常用している薬、アレルギーなど、あなたの健康状態が分かれば、急病やいざというときに役立ちます。

財産の情報

お金についての情報を整理しましょう。
預貯金や株式、不動産など、所有している資産を確認し、自身の財産状況を把握しておくと、今後の生活がイメージしやすくなります。

このときに、資産だけでなく、ローンや借金、「誰かの保証人になっているか」を記載しておくと、相続時のトラブルを防ぐことができます。

医療の希望

もしものときの治療について、自分の意思を残しておきましょう。
病名や余命の告知、延命治療について、あなたの考えを示しておけば、家族や大切な人の心理的な負担を減らすことができます。

介護の希望

判断能力やコミュニケーション能力が弱まる前に、「どのような介護を受けたいか」を明確にしておくことも大切です。「できるだけ自宅で介護を受けたい」「介護施設に入所したい」のように、あなたの希望を書いておくと、家族はスムーズに対応できるでしょう。

葬儀やお墓の希望

葬儀やお墓についての希望があれば、詳しく書いておきましょう。
「家族のみの小さな葬儀にしてほしい」「葬儀をせずに、海に散骨してほしい」など、具体的な希望を書いておくと、家族が迷わずに準備を進めることができます。

死後に解約が必要な手続き

死後に必要となる手続きのうち、家族が見落としやすい項目について、エンディングノートに記入しておくと安心です。

特に、注意したいのが、公共料金や通信料、クレジットカード払いなどの金融口座から自動で引き落とされるものです。本人が亡くなると、口座は凍結されて引き落としができなくなります。また、サブスクリプションサービスは自動更新の場合、解約手続きをしなければ、料金の引き落としが続く恐れがあります。

不要なサービスやクレジットカードはあらかじめ解約し、必要なものについては、詳細をエンディングノートに書いておきましょう。

その他

「伝えなければ後悔する」ことがあれば、その想いを自由に記載しましょう。
ペットを飼っている人は、遺されたペットが幸せに暮らしていけるよう、必要な準備(里親の連絡先、ペットの健康や性格などの基本情報など)を記入します。

大切な人へ個別に伝えたい感謝の気持ちや、思い出の品の譲り先などを書くのもおすすめです。

エンディングノートを書くことで得られる3つのメリット

ここでは、エンディングノートを作ることで得られる3つのメリットについて、解説していきます。

家族の負担を軽減できる

もし、あなたに万一のことが起きたら、家族はあなたの代わりに「どうすべきか」を決める必要があります。あなたの考えを周囲に伝えていなければ、家族は見当がつかず、判断を思い悩むことになるかもしれません。

なかには、「自分の希望は普段から伝えている」という人もいらっしゃるかもしれませんが、意思を客観的な形で残さないと、実現ができない可能性もあります。生死や財産にかかわることは、家族・親戚間で「自分は聞いたことがない」など、どうしてもトラブルになりやすいからです。

家族の迷いや後悔、そしてトラブルを防ぐためにも、自分の意思はできるだけ書面に残すことが大切です。

将来への不安を減らせる

将来、病気や介護が必要になったときのことを考えると、お金のことを含めて不安になりますよね。
お金については、銀行口座や株式などをエンディングノートにまとめることで、現状の資産が明確になり、「今後どのような生活を送ればいいのか」がイメージしやすいでしょう。

資産が少ない場合は、早めに生活を見直すことが、経済的な不安を解消する大きなカギになります。家族や公的機関に相談することで、適切な支援を受けられる可能性もあります。

自分らしく生きるきっかけになる

「どんな最期を迎えたいのか」「大切な人に何を伝えたいのか」をじっくり考えることは、自分の心の奥底にある本当の気持ちや価値観に気づく機会になります。

「家族に感謝の気持ちを伝えたい」「お世話になった友人に会いたい」という想いに気づけば、実行に移すきっかけとなるでしょう。「これまでやってみたいと思ったこと」が浮かんだら、「人生に悔いを残さないためにも挑戦してみよう」という気持ちになるはずです。

エンディングノートにまつわるQ&A

最後に、エンディングノートにまつわる疑問を解消していきましょう。

エンディングノートは何歳で書けばいい?

エンディングノートは、年齢に関係なく、いつからでも書き始めることができます。なかには、20代や30代の若い世代から作成している人もいます。

エンディングノートの目的は、「元気なうちに自分の希望や想いを伝える」ことです。年齢に関係なく、「書きたいと思ったとき」がベストタイミングです。

エンディングノートは専用のノートでないとダメ?

エンディングノートは、形式を問わず書けるため、どのようなノートを使っても構いません。もちろん、普通のノートに残したい内容を書くのもOKです。「書く項目が決まっているほうが楽に記入できる」という人は、専用のノートを使うといいでしょう。

エンディングノートは、書店やインターネットで購入できるほか、自治体で無料配布していることもあります。お住まいの地域の役所や福祉センターなどで確認してみるといいでしょう。

暗証番号やパスワードを記入するのはダメ?

クレジットカードやキャッシュカードの暗証番号は、絶対に書いてはいけません。なぜなら、エンディングノートには、紛失や盗難のリスクがあるからです。

悪用されて困る情報については、暗証番号やパスワードは記入せず、以下のように対応するといいでしょう。

  • 信頼できる家族や友人だけが分かる合言葉や暗号で書く
  • エンディングノート以外のものに重要情報をまとめ、信頼できる人のみに情報の保管場所を伝える

大切な個人情報は、安全な方法で管理し、必要な人だけがアクセスできるようにしておきましょう。

エンディングノートは気軽な気持ちで書こう

エンディングノートには、書く内容に決まりがありません。「今日は預貯金の情報だけ」「明日は友人へのメッセージ」というように、少しずつ書き進めていくのもいいでしょう。
また、書いた内容は、状況や気持ちの変化に応じて、何度でも書き直すことができます。

エンディングノートは終活のイメージが強いかもしれませんが、「今」を安心して暮らすためにも役立ちます。難しく考えずに、好きなノートに気軽に書いていきましょう。