介護疲れを防ぐ対策と活用したいサービス【セルフチェック付き】
介護をしていると、「イライラする」「なんだか疲れやすい」と感じることはありませんか?それはもしかしたら、介護疲れかもしれません。介護疲れを放置すると、介護うつや共倒れにつながる危険性もあります。
この記事では、介護疲れのセルフチェックから対策、そして活用してほしいサービスについて幅広くご紹介します。ご自身や介護をしている身近な人の状況を把握し、少しでも楽になるためのヒントとなれば幸いです。
介護疲れかも?と思ったら「セルフチェック」で確認を
介護疲れとは、介護を続ける中でたまった疲労のことです。
しかし、介護は日常生活の一部なので、疲れを感じても「いつものこと」と思ってしまう傾向があります。気がつかないうちに、心身の限界を超えてしまう人もいるのです。
介護疲れは自覚しにくいため、定期的にセルフチェックを行い、自分の状態を確認することが大切になります。
介護疲れセルフチェック(介護をしている本人向け)
- 介護やお世話を変わってくれる人がいない
- 介護のことを相談できる人がいない
- 介護やお世話のために、家事や仕事に影響が出ている
- だるくて意欲がわかない
- 食欲がなく、体重が減っている
- 眠れない日が続いている
介護をしている家族の介護疲れに気づくには、以下のチェックリストを参考に様子を確認してみてください。
介護疲れセルフチェック(介護をしている人の家族向け)
- ひとりで介護をしている
- 介護以外に負担の大きな役割がある(仕事、子育てなど)
- 介護者本人に病気や障がいがある
- 介護サービスを利用していない、または利用しようとしない
- 介護についてどこにも相談していない
- 疲れた様子である、疲れたと言っている
上記のチェックに当てはまるものがあると、介護疲れの可能性があります。
介護疲れが引き起こす問題
介護疲れは、介護者の心と体にさまざまな悪影響を及ぼします。介護疲れをそのままにすると、高血圧や心疾患などの生活習慣病のリスクを高めるほか、うつ病などの精神疾患を発症する恐れがあります。
また、介護疲れによるイライラが家庭内の雰囲気を悪化させ、離婚や家庭崩壊につながるケースも少なくありません。さらに深刻なケースでは、介護疲れが原因で介護放棄や虐待といった悲しい事件も発生しています。
このように、介護疲れは介護者本人だけでなく、介護を受ける人や家族全体に大きな影響を与えてしまうのです。
在宅介護における家族の負担とその対策
介護疲れを引き起こす原因となるのが、経済的な負担、身体的な負担、精神的な負担の3つです。ここでは、3つの負担と対策について詳しく見ていきましょう。
経済的な負担
介護にはお金がかかります。介護用品や医療費に加え、食事に配慮が必要となると、食費もかさみますよね。介護の度合いによっては、おむつや体拭きなどの消耗品の出費も増えます。
しかし、在宅介護が必要になると、介護に費やす時間が増えるため、これまでのように働くことが難しくなるでしょう。労働時間を減らすと収入が減少し、生活が苦しくなることも考えられます。このような経済的な負担は、介護者の心に重くのしかかり、介護疲れを加速させる要因となります。
経済的な負担の対策
- 介護休暇や介護休業を利用する
- 給付金制度を活用する
身体的な負担
介護は肉体的にハードな作業です。特に、ご自身の力で体を動かせない方の介護は、介護者の体に大きな負担をかけます。
たとえば、要介護者の体を持ち上げたり支えたりするときには、肩や腕、腰に大きな負担がかかります。起き上がりや移乗、排泄、入浴など、さまざまな介助動作において、介護者は背中を丸めたり中腰になったりすることが多く、腰を痛めてしまいやすいのも事実です。
要介護者を転倒させないように、不自然な体勢で介助をすると、体のあちこちに痛みを生じさせ、筋肉痛を引き起こしやすくなります。
身体的な負担の対策
- 睡眠をしっかりとる
- 食事をしっかりとる
- 介護スキルを身に付ける
- 介護用品を活用する
精神的な負担
介護は体だけでなく、心にも負担をかけます。「自分がしっかりしなければ」という責任感や使命感がプレッシャーとなり、常に気を張っている状態が続くからです。
介助中に少しでもヒヤリとするようなことがあると、「きちんとしなければ」「もっと頑張らなければ」と自分を責めてしまいやすくなります。また、「何かあったら大変」という不安が離れず、気持ちが休まるときがないと感じる人もいます。
特に、要介護者が認知症の場合、行動が予測しにくいだけでなく、コミュニケーションがうまく取れないことが大きなストレスとなります。
精神的な負担の対策
- 休息時間を確保する
- 介護を完ぺきにやろうとしない
- 気分転換になるようなことをする
- 誰かに話を聞いてもらう
- 介護サービスを利用する
介護疲れを防ぐために活用したいサービス
介護疲れを軽減するには、外部サービスを積極的に利用することを検討しましょう。
地域包括支援センター
介護疲れを感じたら、まずは地域包括センターに相談しましょう。地域包括支援センターは、高齢者やその家族を支援する「よろず相談所」です。介護に関する悩みや不安、利用できるサービスや給付金など、さまざまな相談に無料で対応してくれます。
介護サービスや給付金は、「どれが使えるのか」がわかりにくいものです。地域包括支援センターで相談すると、あなたが使えるサービスや給付金などを教えてもらえます。また、要介護認定の手続きや具体的な対策についても提案してもらえるので、気軽に利用しましょう。
レスパイトケア
レスパイトケアとは、介護者が一時的に介護から離れて休息することです。介護保険が適用されるサービスもあり、訪問介護、デイサービス、ショートステイなどがあります。状況や要望にあわせて利用するサービスを検討されると良いでしょう。
訪問介護 |
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デイサービス |
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ショートステイ |
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たとえば、入浴介助で考えてみましょう。
在宅介護で要介護者を入浴介助するのは、かなり大変ですよね。入浴の準備だけでなく、入浴中の介助には体力が必要ですし、後片付けもあります。これらをすべて自分だけでこなすと、心身ともに大きな負担がかかってしまいます。
入浴介助サービスを利用することで、介護者は入浴介助にかかる時間や身体的な負担を減らし、自分の時間や休息時間を確保できます。
「自分でできるから」と無理せず、積極的にサービスを利用し、介護者の心身の負担を軽減することが大切です。
介護保険適用外サービス
介護保険で利用できるサービスは、回数やサービス内容に制限があります。もし、介護保険サービスだけで介護の負担を軽減できない場合は、介護保険適用外(自費)のサービスの利用も検討しましょう。
介護保険適用外サービスには、以下のようなものがあります。
配食サービス | 栄養バランスの取れた食事を自宅に届けてくれる |
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家事代行 | 掃除や洗濯、料理などの家事を代行してくれる |
病院の付き添い | 病院へ同行し、受付や診察などのサポートをしてくれる |
自治体によっては、独自の介護保険適用外サービスを提供していることもあります。
以下は、大阪市が行っているサービス内容の一例と費用の目安です。
サービス内容 | 費用の目安 |
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生活支援型食事サービス事業 | 1食あたり668円以内 |
介護用品給付事業 | 6,500円×年間12枚の給付券 |
ごみの持ち出しサービス(ふれあい収集) | 無料 |
家族介護慰労金支給制度 | 年額10万円 |
出典:大阪市:在宅で生活するための福祉サービスより作成
自治体が提供するサービスは、安価で利用できることが多いので、気になる方はケアマネジャーや地域包括支援センター、または、お住まいの自治体の窓口で相談してみてください。
在宅での介護が難しくなったら「施設への入居」も検討しよう
介護は一人で抱え込まずに、さまざまな支援制度やサービスを活用し、無理のない範囲で続けることが大切です。しかし、介護が長期化したり、介護者の負担が軽減できない状況が続くようであれば、老人ホームなどの施設への入居も視野に入れましょう。
施設への入居は、介護する側・される側双方にとって、より安心した生活を送るための選択肢の一つとなります。ご家族だけで悩まず、地域包括支援センターや市区町村の窓口に相談し、周囲のアドバイスを参考にしながら、最適な方法を見つけてください。
参考サイト