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「高齢者は花粉症にならない」は誤解!?高齢者特有の注意点・対策を紹介

「年を重ねると花粉症にはならない」という話を聞いたことはありませんか。しかし、実際には多くの高齢者が花粉症に悩まされています。春先になると目のかゆみや鼻水、くしゃみといった症状に苦しむ方は、若い世代だけではありません。高齢者の花粉症には、若い世代とは異なる注意点があり、適切な対策が必要です。この記事では、高齢者の花粉症が増えている背景や、その原因、そして日常生活でできる対策について詳しくご紹介します。

「高齢者は花粉症にならない」は誤解!増えている高齢者の花粉症

以前は「高齢になると免疫機能が低下するため、花粉症のようなアレルギー反応は起こりにくい」と考えられていました。そのため、「高齢者は花粉症にならない」という認識が広まっていたのです。しかし、この考えは現在では正しくないことが分かっています。

実際には、医療技術の進歩により花粉症の診断方法が改善されたことで、これまで見過ごされていた高齢者の花粉症が正しく診断されるようになりました。また、長年にわたって花粉にさらされ続けることで、高齢になってから初めて花粉症を発症するケースも増えているのです。

データが示す高齢者の花粉症の増加

株式会社ユーグレナが2023年に実施した調査によると、約3割の方が60代以上で花粉症を発症しています。それ以前から花粉症に悩んでいる方も多く、もはや高齢者にとって花粉症は珍しい症状ではないことを示しています。

出展:株式会社ユーグレナ
調査対象:全国の60歳以上の花粉症の男女300人
調査方法:インターネット調査
調查実施:2023年12月

「若い頃は平気だったのに、最近になって急に花粉症の症状が出るようになった」という声もよく聞かれます。

高齢者の花粉症は確実に増加しており、「高齢者は花粉症にならない」というのは完全な誤解なのです。

なぜ高齢者も花粉症になるの?原因をわかりやすく解説

花粉症のメカニズムを知ろう

花粉が鼻や目の粘膜に入ると、体は花粉を「敵」だと判断します。すると免疫の細胞が情報を伝え合い、花粉を攻撃するための「IgE(アイジーイー)抗体」という物質を作ります。この段階を「感作(かんさ)」といいます。

次に花粉が入ってきたとき、IgE抗体が花粉を捕まえて細胞を刺激し、「ヒスタミン」や「ロイコトリエン」という物質が放出されます。これらの物質が神経や血管を刺激することで、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が現れるのです。

参考:的確な花粉症治療のために/厚生労働省

花粉症が増えている社会的背景

高齢者の花粉症が増加している背景には、いくつかの要因があります。

  • スギ花粉の飛散量の増加
    戦後に植林されたスギが成長し、大量の花粉を飛散させている
  • 大気汚染の影響
    排気ガスなどの大気汚染物質が花粉と結びつき、アレルギー反応を起こしやすくなっている
  • 住環境の変化
    気密性の高い住宅が増え、室内に花粉が滞留しやすくなっている
  • 平均寿命の延伸
    長生きすることで、より長期間花粉にさらされるようになった

これらの要因が複合的に作用し、高齢者の花粉症発症につながっているのです。

高齢者の花粉症で注意すべき5つのポイント

高齢者が花粉症になった場合、若い世代とは異なる注意点があります。ここでは特に気をつけたい5つのポイントをご紹介します。

1. 口呼吸による感染症リスクの上昇

鼻づまりがひどくなると、つい口で呼吸をしてしまいます。しかし口呼吸には注意が必要です。鼻には空気中のウイルスや細菌をろ過する機能がありますが、口にはその機能がありません。

そのため口呼吸を続けると、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなってしまいます。特に高齢者は免疫機能が低下しているため、感染症が重症化するリスクも高まります。鼻づまりがひどい場合は、早めに医療機関を受診して適切な治療を受けることが大切です。

2. くしゃみや咳による怪我のリスク

花粉症の症状である激しいくしゃみや咳は、想像以上に体に負担をかけます。急激な腹圧の上昇により、ぎっくり腰を起こしたり、肋骨(ろっこつ)を痛めたりすることもあります。

また、くしゃみの瞬間は目を閉じてしまうため、歩行中や階段の昇り降り中にくしゃみが出ると、転倒の危険性もあります。骨が弱くなっている高齢者にとって、転倒は骨折につながる重大な事故です。くしゃみが出そうなときは、可能な限り立ち止まり、手すりや壁につかまるなどの対策を心がけましょう。

3. 風邪と間違えて適切な治療を受けないケース

花粉症の症状は風邪とよく似ています。鼻水、くしゃみ、倦怠感(けんたいかん)など、どちらも同じような症状が現れるためです。しかし、花粉症と風邪では原因が異なるため、治療法も異なります。

「ただの風邪だろう」と自己判断して放置していると、症状が悪化したり、二次的な感染症を引き起こしたりする可能性があります。症状が長引く場合や、発熱を伴わない鼻水やくしゃみが続く場合は、花粉症の可能性を考えて医療機関を受診しましょう。

4. 薬の飲み合わせへの配慮

高齢者の中には、高血圧や糖尿病などの持病があり、複数の薬を服用していることもあるでしょう。花粉症の薬を新たに追加する際には、既に服用している薬との飲み合わせに注意が必要です。

花粉症の治療を始める際は、必ず医師や薬剤師に現在服用している薬を伝え、安全性を確認してもらいましょう。

5. 口腔乾燥から歯周病悪化の懸念

鼻づまりによる口呼吸が続くと、口の中が乾燥しやすくなります。また、花粉症の薬の副作用でも口が渇くことがあります。

唾液には口の中を清潔に保つ働きがありますが、口が乾燥すると唾液の分泌が減り、細菌が繁殖しやすくなります。これにより、歯周病や虫歯のリスクが高まる可能性があります。高齢者はもともと唾液の分泌量が減少傾向にあるため、より一層の注意が必要です。こまめな水分補給や口腔ケアを心がけましょう。

今日からできる「高齢者の花粉症対策」

花粉症の症状を軽減するためには、日常生活での工夫と適切な医療的ケアの両方が大切です。ここでは、今日から実践できる対策をご紹介します。

基本的な花粉回避の方法

花粉症対策の基本は、できるだけ花粉との接触を避けることです。

  • マスクの着用
    花粉の侵入をかなり防げる。顔にフィットするものを選ぶ
  • メガネの使用
    通常のメガネでも目に入る花粉を約40%、花粉症用メガネなら約65%減らせる
  • 帽子や上着
    帰宅時に玄関前で払い落とすことで、室内への花粉の持ち込みを防ぐ
  • 花粉の多い時間帯の外出を控える
    午後1時〜3時頃は特に飛散量が多い

これらの対策は特別な費用もかからず、すぐに始められるものばかりです。外出する際の習慣として取り入れてみましょう。

参考:花粉症環境保健マニュアル/環境省

室内での花粉対策

花粉症は本当につらいものです。せめて、家の中では花粉の心配をせずに過ごしたいですね。そのためには、室内に花粉を持ち込まない工夫が重要です。

  • 洗濯物は室内干しにする
    外干しすると花粉が付着してしまう
  • 換気は早朝か夜間に短時間で
    窓を細く開け、レースのカーテンを閉めたまま行う
  • こまめな掃除
    床に落ちた花粉を舞い上げないよう、掃除機の前に濡れた雑巾やモップで拭く
  • 空気清浄機の活用
    花粉症対応の空気清浄機の方が効果を期待できる
  • 帰宅後はすぐに着替える
    花粉の付いた服は洗濯かごへ

少しの工夫で、室内の花粉量を大きく減らすことができます。

生活習慣の改善で症状を和らげる

体調を整えることで、花粉症の症状が軽減されることがあります。バランスの良い食事、適度な運動、質の良い睡眠は、健康を支える大切な生活習慣です。

これらの生活習慣は、花粉症だけでなく健康維持にも役立ちます。シニアの方にとって、健康維持はとても大切ですから、できることから少しずつ始めてみましょう。

医療機関での治療の重要性

セルフケアだけでは症状が改善しない場合は、医療機関での治療が必要です。

早めの受診がポイントです。花粉が飛散する2週間ほど前から治療を始める「初期療法」は、症状を軽くし、薬の使用量を減らす効果があります。毎年花粉症に悩まされている方は、シーズン前にかかりつけ医に相談してみましょう。

まとめ

「高齢者は花粉症にならない」というのは誤解で、実際には多くの高齢者が花粉症に悩んでいます。年齢を重ねてから、はじめて症状が出ることも決して珍しくありません。

高齢者の花粉症には、口呼吸による感染症の心配や、くしゃみをした拍子の転倒・ケガ、飲んでいる薬との相性、口の中が乾くことで起こりやすい歯や歯ぐきのトラブルなど、気をつけたい点があります。ただし、必要以上に心配しすぎる必要はありません。花粉症は、ある程度「そろそろ来そうだな」と予想ができ、工夫次第で症状をやわらげることができます。

マスクやメガネの着用、室内に花粉を持ち込まない工夫、生活リズムを整えることなど、日常の中でできる対策はたくさんあります。症状が長く続いたり、つらさが強い場合には、早めに医療機関に相談することも大切です。

また、ご家族の支えも欠かせません。特に認知症のある方は、症状をうまく伝えられなかったり、薬の飲み忘れが起きやすかったりします。周囲の人が小さな変化に気づき、さりげなく手を差し伸べることが必要です。

「年だから仕方ない」とあきらめず、正しい知識を持って向き合えば、花粉症のつらさは軽くできます。備えを整え、心も体も無理をせず、うららかで穏やかな春を気持ちよく過ごしたいものですね。