インフルエンザを予防!在宅介護で実践したい感染症対策6つ
寒暖差が激しかったり、空気が乾燥したりする時期は、インフルエンザをはじめとする感染症が流行しやすくなります。特に、高齢者や持病をお持ちの方は感染症にかかりやすく、重症化するリスクも高まるため、ご自宅で介護されている方は注意が必要です。
感染症対策は、多くの方がすでに実践されているかと思いますが、正しい方法で行わないと十分な効果が得られないことがあります。この記事では、正しい感染症対策の方法をご紹介しますので、いま一度、確認しておきましょう。
在宅介護で実践したい感染症対策6つ
在宅介護をしている方に実践してほしい感染症対策は、以下の6つです。
すでに実践されている方も多いかと思いますが、より効果を高めるために、ご自身の対策方法が適切かどうか確認してみましょう。
【マスク】正しくつけないと効果が半減
マスクは正しくつけないと効果が半減してしまうので、注意が必要です。
隙間がないように、顔にフィットするサイズや形のマスクを選びましょう。
マスクの正しいつけ方(不織布マスクの場合)
マスクの正しいはずし方
- 片耳のゴムひもを持ち、顔からはずす。
- 反対側のゴムひもを持ち、顔からはずす。
- マスクの表面に触れないようにし、ビニール袋などに入れて(もしくは蓋のついたゴミ箱に入れて)廃棄する。
- 廃棄後はすぐに手洗い、またはアルコール製剤などで手指消毒する。
<ここがポイント!>
せっかくマスクをしていても、顔の間に隙間ができると細菌やウイルスが侵入しやすくなるので、鼻と口の両方を確実に覆うように着用しましょう。
息苦しさから無意識のうちにマスクから鼻を出してしまうと、感染リスクを高めることになるので要注意です。
また、マスクは種類によって、吐き出し飛沫量や吸い込み飛沫量が異なります。
対策方法 | マスクなし | 不織布マスク | 布マスク | ウレタンマスク |
---|---|---|---|---|
吐き出し飛沫量 | 100% | 20% | 18~34%※ | 50% |
吸い込み飛沫量 | 100% | 30%※ | 55~65%※ | 60~70% |
※豊橋技術科学大学による実験値
出典:マスクの効果と正しい使用方法|自治医科大学付属さいたま医療センターより作成
感染症を予防する目的の場合は、不織布マスクを着用するといいでしょう。
【手洗い】タイミングを逃さないことが大切
感染症を防ぐには、手や指に付着したウイルスを体の中に入れないことが大切です。ウイルスがついた手で目や口、鼻に触ると、感染することがあります。
「外出後に手を洗う」という人は多いですが、ウイルスは目に見えないため、いつどこで手に付着しているかわかりません。そのため、特にウイルスが付着しやすいと考えられるタイミングでこまめな手洗いを行うことが重要です。
厚生労働省は、手指消毒の適切なタイミングについて、以下の「5つの手洗いのタイミング」を提唱しています。
5つの手洗いのタイミング
- 公共の場所から帰ったとき
- 咳やくしゃみ、鼻をかんだとき
- ご飯を食べるとき
- 病人のケアをしたとき
- 外にあるものを触ったとき
正しい手の洗い方
- 流水でよく手をぬらした後、石鹸をつけ手のひらをこすり合わせる。
- 手の甲を伸ばすようにこする。
- 指先・爪の間を念入りにこする。
- 指の間を洗う。
- 親指と手のひらをねじり洗いする。
- 手首を洗ったら水で流し、清潔なタオルやペーパータオルでよく拭き取る。
<ここがポイント!>
手洗いは最低15秒かけて行いましょう。洗う前には指輪や時計をはずし、爪も短く切っておきます。
指先、親指、指の間は洗い残しのしやすい箇所なので、忘れず入念に行いましょう。
手洗いの後にアルコール消毒を行うと、より高い効果を得ることができます。
【うがい】習慣化で感染症リスクを減らす
口のなかを清潔にすることは、感染症対策としても有効です。
空気中に浮遊するウイルスを知らないうちに吸い込んでしまっても、しばらくは口のなかや喉にとどまっているので、すぐに発症することはありません。外出後はうがいを行い、のどの粘膜についたウイルスを洗い流しましょう。
正しいうがいの仕方
- まず手洗いをし、コップに水を入れる。
- 口の中に水を含み、少し強めに口の中をゆすいで吐き出す(2〜3回)。
- 上を向いて約15秒、喉の奥まで水を届ける感覚で、ガラガラとうがいし吐き出す(2回)。
※市販のうがい薬を使う場合は、説明書で量を確認して行いましょう。
<ここがポイント!>
うがい薬は、間違った方法で作ったり、そのまま放置したりすると、十分な効果が得られません。また、うがいのしすぎは、喉を痛めるだけでなく、正常な粘膜を洗い流してしまうことも。うがいは、外出先から帰ったとき、食事の前後、掃除の後などに行うといいでしょう。
【予防接種】家庭内感染と重症化を防ぐ
在宅介護をしている人は、家族全員での予防接種がおすすめです。
家族全員で予防接種を受けることで、家庭内での感染が広がることや、感染症の重症化を防ぐ効果が期待できます。
インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症は、学校や職場といった多くの人が集まる場所で流行しやすいものです。そのため、お子さんと同居している、不特定多数の人と接触する機会が多い人が家族にいると、どうしても感染リスクが高くなります。
ただし、介護される人の健康状態によっては予防接種が受けられないこともあります。予防接種の可否や接種のタイミングについては、必ずかかりつけ医に相談しましょう。
<ここがポイント!>
インフルエンザや新型コロナウイルスなどの予防接種は、お住まいの自治体によっては、一部または全額の費用が助成されることがあります。地域包括支援センターや自治体の窓口で確認してみるといいでしょう。
【室温・湿度】部屋を温かくし、適切な湿度(50~60%)を保つ
部屋の温度や湿度を適切に保つことは、マスクや手洗いと同じように、感染症予防に効果的です。
ウイルスは、気温が低く、乾燥している環境を好みます。このような環境(低温・低湿度)では、ウイルスが空気中に長時間漂いやすくなるので注意しましょう。
暖房や加湿器などを活用して、室温を20℃以上、室内の湿度を50〜60%を保つと、ウイルスが住み着きにくい環境を作ることができます。また、加湿器だけでなく、こまめな換気もおすすめです。新鮮な空気を取り入れることで、室内のウイルス量を減らせます。
<ここがポイント!>
乾燥した空気は、鼻やのどの粘膜を傷つけ、ウイルスに対する抵抗力を弱めてしまいます。加湿器のほか、洗濯物や濡れタオルを干すことでも、部屋の加湿は可能です。
水分をこまめに摂ると、のどの乾燥予防になります。特に乾燥しやすいのが冬です。しっかりと乾燥対策をして、健康な冬を過ごしましょう。
【外出を控える】感染症が流行中は人ごみを避ける
感染力が強い感染症が流行しているときは、人ごみや繁華街への外出は控えましょう。以下に該当する人は、感染症にかかるリスクが高くなるからです。
- 高齢者
- 持病がある人
- 妊娠中の人
- 体調の悪い人
- 睡眠不足の人
どうしても外出が必要な場合は、短時間で済ませ、帰宅後すぐに手洗いやうがいを行いましょう。
<ここがポイント!>
感染症が流行中に外出するときは、必ずマスクを着用し、口と鼻をしっかり覆いましょう。外出先から帰ったら、すぐに石鹸で丁寧に手を洗うことも効果的です。混雑した場所や密閉された空間を避け、人との距離を保つようにしましょう。
感染症予防には、免疫力を高めることも重要
感染症予防には、「感染症に負けない体づくり」も重要です。免疫力を高めるためには、十分な睡眠をとり、バランスの取れた食事を心がける必要があります。規則正しい生活を送って、体の抵抗力を高め、感染症から身を守りましょう。
免疫力アップについては、以下の記事で詳しく解説していますので、併せて参考にしてください。