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フレイル改善方法 イレブンチェックでセルフ診断・食事と運動で健康を取り戻す

「なんとなく体が重い」「以前より疲れやすくなった」と感じることはありませんか?その小さな変化は、心身の衰えが進み始める「フレイル」と関係しているかもしれません。

フレイルは早めに気づいて対策を取れば、健康な状態に近いところまで回復できる可能性があります。この記事では、フレイルの基本的な知識から、11項目で簡単に試せるイレブンチェック、食事・運動による具体的な改善方法まで、わかりやすくご紹介します。

フレイルとは?「健康」と「要介護」の中間状態を正しく理解しましょう

フレイルは、英語の「Frailty(フレイルティ)」を語源とする言葉で、日本老年医学会が2014年に提唱した概念です。

厚生労働省の研究班報告書では、フレイルを次のように定義しています。

「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能など)が低下し、生活機能が障害され、心身の脆弱性(もろさ)が出現した状態」

そして、この定義には大切な続きがあります。「適切な介入・支援によって、生活機能の維持・向上が可能な状態」とも記されているのです。

フレイルは健康な状態と要介護の状態の中間に位置しますが、必ずしも要介護へと進むわけではありません。早期に気づき、適切な対策を取ることで健常に近い状態へ改善できる、可逆性のある(戻ることができる)状態であることが大きな特徴です。「もう年だから仕方ない」とあきらめる必要はありません。

フレイルは身体・心理・社会面にまたがる状態

フレイルは大きくわけると、次の3つの種類があります。

  • 身体的フレイル:体重の減少、筋力の低下、歩行速度の低下など
  • 精神・心理的フレイル:うつ状態、意欲の低下、認知機能の低下など
  • 社会的フレイル:外出の減少、人との交流の減少、孤立など

これらは互いに影響し合っています。外出が減ると体を動かす機会が減り、食欲も落ちる。食事が減ると筋力が低下し、ますます外出しにくくなる……。このような「負のサイクル(フレイルサイクル)」が起きやすくなります。早めに気づいてサイクルを断ち切ることが、改善への近道です。

また、筋肉量と筋力が低下する「サルコペニア」はフレイルと深く関わる重要な要因のひとつとされています。

▶サルコペニアについて詳しい解説はこちら
サルコペニアとは?症状やフレイルとの違い、すぐできる予防法を解説

身体的フレイルの判定基準(Fried基準)

フレイルの判定には、研究者のFriedらが提唱した以下の5項目がよく用いられます。

  • 意図しない体重減少
  • 疲れやすさ(主観的な疲労感)
  • 歩行速度の低下
  • 握力の低下
  • 日常の身体活動量の低下

このうち3項目以上に該当する場合をフレイル、1〜2項目に該当する場合をプレフレイルと判断します。

ただし、これはあくまで身体面に着目した基準です。

健常 → プレフレイル → フレイルという段階がある

フレイルには次のような進行段階があります。早い段階で気づくほど、より回復しやすくなります。

状態 概要
健常 心身ともに問題がなく活動的な状態
プレフレイル フレイルの前段階
身体的フレイル基準の1~2項目に該当する
フレイル 身体的フレイル基準の3項目以上に該当し
日常生活に支障が出やすい状態
要介護 日常生活でサポートが欠かせない状態

プレフレイルの段階では、まだ十分な改善の余地があります。「最近なんとなく元気がない」と感じたら、早めに確認してみることが大切です。

ご家族が気づく「日常のサイン」にも注目を

フレイルの兆候は、本人よりも周囲の家族のほうが先に気づくことが少なくありません。たとえば、ひさしぶりに実家を訪れた際、冷蔵庫に同じ食材ばかりが残っている様子に違和感を覚えることがあります。また、一緒に外出すると、以前よりも歩くペースが明らかに遅くなっていると感じるかもしれません。他にも、ペットボトルの蓋を開けにくそうにしていたり、身だしなみに無頓着になっていたり、食事中にむせることが増えていたりする場合もあります。こうした「以前にはあまり見られなかった変化」は、フレイルの早期サインである可能性があります。「年のせいかな」と見過ごさず、気になる変化があれば、ぜひこの後のイレブンチェックを一緒に試してみてください。

フレイルのイレブンチェックで今すぐセルフ診断!11項目の確認方法

フレイルかどうかを自分でチェックする方法として広く活用されているのが「イレブンチェック」です。東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授によって考案され、厚生労働省や東京都医師会でも紹介されている公的なセルフ診断ツールです。

イレブンチェック

以下の質問に「はい」「いいえ」で回答してください。
※Q4、Q8、Q11は「はい」「いいえ」が逆になっていますので注意してください。

No. 質問 回答
1 同じ年齢・同性と比べて、健康的な食事を心がけていますか はい いいえ
2 野菜料理と主菜(肉・魚)を両方、毎日2回以上食べていますか はい いいえ
3 「さきいか」「たくあん」程度の固さの食品を普通に噛み切れますか はい いいえ
4 お茶や汁物でむせることがありますか いいえ はい
5 1回30分以上の汗をかく運動を週2日以上、1年以上続けていますか はい いいえ
6 日常生活で歩行など体を動かすことを1日1時間以上していますか はい いいえ
7 同年代の同性と比べて歩く速度が速いと思いますか はい いいえ
8 昨年と比べて外出の回数が減っていますか いいえ はい
9 1日1回以上、誰かと一緒に食事をしますか はい いいえ
10 自分が活気に溢れていると思いますか はい いいえ
11 何よりまず、物忘れが気になりますか いいえ はい

右側の欄の数をチェックしましょう。3〜4個でプレフレイルの可能性が、5個以上でフレイルの可能性があると言われています。

しかし、チェック結果はあくまで目安です。気になる項目があれば、ひとつひとつ丁寧に対策してみてください。チェックシートを持参して、かかりつけ医に相談すると、より具体的なアドバイスをもらうことができます。地域の「フレイルチェック事業」や自治体の健康相談窓口も、ぜひ活用してみてください。

参考:やってみようフレイルチェック/柏市公式サイト

フレイル改善の食事法:たんぱく質と栄養バランスで低栄養を防ぐ

フレイルの改善・予防において、食事はとても大切な役割を担っています。高齢になると食欲が落ちやすく、気づかないうちに栄養が不足してしまうことがあります。特に筋肉の材料となる「たんぱく質」の不足が、サルコペニアやフレイルと深く関わるとされています。

1日3食、毎食たんぱく質を意識する

たんぱく質は、毎食に分けて摂ることで1日に必要な量を確保しやすくなり、筋肉の維持にも役立つと考えられています。たんぱく質が豊富な食品には次のようなものがあります。

  • 肉類(鶏むね肉・豚ヒレ肉など)
  • 魚介類(サーモン・さば・しらすなど)
  • 大豆製品(豆腐・納豆・豆乳など)
  • 乳製品(ヨーグルト・チーズ・牛乳など)

毎食の主菜にこれらをひとつ取り入れるだけで、たんぱく質の摂取量は大きく変わります。「今日は食欲がないな」というときは、消化がよく少量で栄養を補えるヨーグルトや卵、豆腐を活用するのがおすすめです。 

野菜・果物・穀物も組み合わせて「多様な食事」を心がける

たんぱく質だけでなく、食事全体のバランスも大切です。野菜や果物に含まれるビタミン・ミネラルは免疫力の維持を助け、体の機能を正常に保つために欠かせません。ご飯やパンなどの主食(炭水化物)も、体を動かすためのエネルギー源として必要です。

「昨日食べていなかったものを今日食べる」という意識を持ちながら、食事の多様性を少しずつ広げてみましょう。

オーラルフレイル(お口のフレイル)に気をつけて

噛む力や飲み込む力が少しずつ衰えていく状態は、近年「オーラルフレイル(お口のフレイル)」と呼ばれ、全身のフレイルの入り口として重視されています。噛む力や飲み込む力が衰えると、食べられるものが限られてしまい、栄養不足につながります。毎日の歯磨きに加え、定期的な歯科受診も低栄養予防には欠かせません。「食べものが飲み込みにくくなった」「入れ歯が合わなくなった」と感じている場合は、早めに歯科医や医師に相談することをおすすめします。

フレイル予防・改善の運動法:筋力と体力を取り戻す自宅トレーニングの始め方

食事と並んで重要なのが「運動」です。筋肉は使わなければ衰えていきますが、適切な運動を続けることで筋力を取り戻せる可能性があります。特別な器具がなくても、自宅でできる運動から少しずつ始めることが大切です。

自宅でできる筋力トレーニング

次のような運動がフレイル予防・改善に効果的とされています。転倒に注意しながら、安全な環境で行ってください。

  • スクワット:椅子に座るように腰をゆっくり落とす動作。足腰全体を鍛えられる
  • かかと上げ(カーフレイズ):つま先立ちをゆっくり繰り返す。ふくらはぎを鍛え、転倒予防にも有効
  • 椅子からの立ち座り:「立つ→座る」をゆっくり繰り返す。股関節・太もものトレーニングに
  • 足踏み運動:椅子に座りながら足を交互にゆっくり上げる。体幹や足の筋力維持に

無理なく、最初は「1日3〜5回×2セット」から始めてみましょう。慣れてきたら少しずつ回数を増やすのがコツです。体の痛みや違和感を感じたら無理せず、医師に相談してから取り組みましょう。

体力に応じた歩行習慣を続ける

筋力トレーニングに加えて、歩くことも体に大きな良い影響を与えます。心肺機能の維持や気分のリフレッシュにもつながります。体力や体調に応じて、無理のない範囲で歩行の習慣を続けることが大切です。「1駅分歩く」「近所のスーパーまで歩いて行く」といった小さな目標から始めるだけで十分です。

地域の体操教室や仲間との運動で「社会的フレイル」も予防

ひとりで運動を続けるのはなかなか難しいものです。地域の体操教室や高齢者サロン、シニア向けスポーツクラブなどに参加すると、体を動かしながら人とのつながりも生まれます。人との交流は「社会的フレイル」の予防にもつながるため、一石二鳥の取り組みといえます。自治体の広報誌や地域包括支援センターで開催中の講座を確認してみてください。

フレイルは早期発見・早期対策で改善できる!今日から始めたい3つのアクション

フレイルは「もう年だから仕方ない」とあきらめなくてよい状態です。健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)も「早期に介入すれば、健常に近い状態への改善が期待できる」としています。

大切なのは「気づいたときに、できることから始める」こと。以下の3つのアクションから、今日さっそく取り組んでみてください。

1.イレブンチェックで自分の状態を把握する

まずは本記事で紹介したイレブンチェックを試してみましょう。気になる項目が見つかれば、かかりつけ医や地域包括支援センターへの相談につなげてください。「まだ大丈夫かな」と思っていても、チェックしてみると新たな気づきがあるかもしれません。

2.食事と運動を「毎日の習慣」に組み込む

「今日から特別なことをしよう」と気負わなくて大丈夫です。毎朝の食事に今日はヨーグルトを、明日は卵料理をつけてみる。気持ちの良い時間帯に少し近所を歩いてみる。そんな小さな変化の積み重ねが、長期的には大きな差を生みます。まずは「今日できること」をひとつだけ決めて、実践してみてください。

3.外出・人との交流・口腔ケアで生活全体を整える

フレイルは身体・心理・社会面にまたがる状態です。誰かと話す、近所に出かける、口の中を清潔に保つ。日常生活のあらゆる場面での小さな取り組みが、フレイルの予防・改善につながります。「今日は友人に電話してみよう」「歯磨きを丁寧にしよう」という意識が、少しずつ効いてきます。

家族で、みんなで!一緒に進める「フレイル対策」

フレイルの予防や改善は、ご本人だけで抱え込むのではなく、周囲と一緒に取り組むことで続けやすくなります。こうした取り組みは、なかなか「ひとり」では続けにくいものです。だからこそ、ご家族や身近な人との関わりが大切になります。イレブンチェックも、ぜひコミュニケーションのきっかけとして、一緒に取り組んでみてください。「最近どう?」「一緒にやってみようか」と声をかけるだけでも、前向きな一歩につながります。

また、日々の生活の中でも、無理のない範囲で関わりを持つことが支えになります。たとえば、一緒に食事を楽しんだり、近所への散歩に誘ったりすることは、自然と食事や運動の習慣づくりにつながります。遠くに住んでいる場合でも、定期的に電話をしたり、「最近どこか出かけた?」といった何気ない会話を交わしたりするだけでも、状況の変化に気づくきっかけになります。

小さな声がけや関わりの積み重ねが、ご本人の行動を後押しし、フレイルの予防・改善へとつながっていきます。家族で、みんなで、一緒に取り組むことを意識してみてください。

フレイルは、決して避けられないものではありません。適切な対策を続けることで、元気な生活を取り戻せる可能性があります。焦らず、できることから少しずつ。今日の一歩が、明日の健康を支えます。

参考: