サイト内検索
介護のお役立ち情報
  1. トップページ
  2. 介護のお役立ち情報
  3. 介護のイライラ・怒りをやわらげるアンガーマネジメントとは

介護のイライラ・怒りをやわらげるアンガーマネジメントとは

介護をしていると、思いどおりにいかないことが重なり、つい声を荒げてしまう瞬間があります。「さっきも同じことを言ったのに」「どうしてわかってくれないの」と、イライラや怒りの感情がこみ上げてくるのは、決して特別なことではありません。

この記事では、介護の現場で役立つアンガーマネジメント(怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング)の基本と、親のわがままや言動への向き合い方、限界を感じる前に頼れる相談先について紹介します。今日からできる小さな工夫を知り、少しでも心を軽くするきっかけにしてください。

介護でイライラ・怒りが限界を迎えやすいのはなぜ?

介護をする中で怒りの感情が生まれるのは、ひとつの原因だけではありません。いくつもの負担が重なり合って、限界に近づいていきます。

介護で怒りが生まれる主な原因

  • 先の見通しが立たず、いつまで続くかわからない不安がある
  • 睡眠不足や体力の消耗など、身体的な負担が重なっている
  • 自分の時間がとれず、気持ちを切り替える余裕がない
  • 何度も同じ説明をしても伝わらず、徒労感が積み重なる
  • 頑張っているのに周囲から理解されないと感じる

「こんなことがずっと続くのかしら」
「夜中に何度も起こされて……」
「誰も感謝してくれない、どんなに大変かわかってくれない」

介護をしていれば、誰でもこんな「モヤモヤ」を、時々、もしかしたら毎日感じていても、不思議ではありません。「モヤモヤ」が続けば「イライラ」となり、こうした負担が積み重なることで、ちょっとしたきっかけでも怒りが爆発しやすくなります。

介護のイライラは、性格の問題ではなく、環境や状況が引き起こしていることがほとんどです。

親のわがままが増える背景

加齢にともなって、判断力や理解力がゆっくりと変化していくことがあります。本人としては悪気がなくても、こだわりが強くなったり、同じ話を繰り返したりすることも増えていきます。また、身体が思うように動かない不安や、家族に迷惑をかけているという申し訳なさが、かえって強い言葉や態度として表れる場合もあります。

わがままに見える言動の裏には、本人なりの不安が隠れていることが少なくありません。長年家族を支えてきた立場から、頼ることへの抵抗を感じている人もいます。言動の理由を少し想像してみるだけでも、受け止め方が変わってくることがあります。

怒りを我慢し続けるリスク

怒りの感情を出さないように我慢し続けると、少しずつ心身に負担がたまっていきます。眠れない、食欲がわかない、涙が止まらないといった状態が続く場合は、心と体が助けを求めているサインです。我慢することが美徳とされがちですが、限界まで抱え込むと、介護をする人自身が体調を崩し、共倒れになってしまう危険もあります。

介護でイライラしたり、時に声を荒げてしまったりするのは、決して自分を責めるようなことではありません。誰にでも起こりうる自然な感情の動きだと知っておくだけでも、気持ちが少し楽になります。

介護に役立つアンガーマネジメントの基本

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会では、アンガーマネジメントについて、怒りの感情そのものをなくすものではなく、衝動的な言動ではなく建設的な行動につなげるための心理トレーニングと説明しています。介護の場面でも、いくつかの方法を知っておくだけで、感情に振り回されにくくなります。

怒りのピークをやり過ごす「6秒ルール」

怒りの感情は、わき上がった瞬間が最も強く、時間の経過とともに急速に収まっていく性質があるとされています。同協会でも、怒りを感じたら6秒数える方法が広く紹介されています。とっさに声を荒げそうになったときは、心の中でゆっくり6つ数えてみましょう。数字を数えるだけでも、頭の中に冷静さを取り戻す時間が生まれます。

1度その場を離れる「タイムアウト」

怒りが強く、6秒待つだけでは気持ちが収まらないときは、無理をせずその場を離れる方法も有効です。トイレや別の部屋に移動する、廊下や玄関先で深呼吸をするなど、物理的に距離をとることで気持ちを切り替えやすくなります。親のそばを離れることに罪悪感を覚える人もいますが、数分席を外すだけでも、お互いに冷静さを取り戻すための大切な時間になります。

怒りを書き出す「アンガーログ」

いつ、どんな場面で、どのくらいの強さの怒りを感じたかを簡単にメモしておく方法もおすすめです。書き出すことで、自分がどんな状況で怒りやすいのかというパターンが見えてきます。パターンがわかれば、事前に対策を考えたり、負担が大きい時間帯だけ家族に代わってもらったりと、具体的な工夫につなげやすくなります。

これらの方法は、どれかひとつを完璧にこなす必要はありません。6秒数えても収まらない日はその場を離れ、余裕があるときだけアンガーログをつける、というように、そのときの状況に合わせて組み合わせてみましょう。少しずつ続けるうちに、怒りへの向き合い方が自分の中に馴染んでいきます。

「べき」という理想を手放す

介護での怒りの多くは、「親はこうあるべき」「自分はこのくらいはできて当然」といった、理想と現実のギャップから生まれます。理想が高いほど、思いどおりにいかない現実とのずれが大きくなり、怒りにつながりやすくなります。

「べき」を少しゆるめて、「できたら十分」くらいの気持ちに置き換えるだけで、心の負担がぐっと軽くなります。理想の介護像にとらわれすぎず、今の自分と親にとって無理のないかたちを探していくことも、怒りをためこまないための大切な視点です。

親のわがままや言動とうまく向き合うヒント

親の言動にどう向き合うかによって、日々の介護の負担感は大きく変わってきます。

向き合い方 避けたい対応 おすすめの対応
声掛け 正論で言い返す
否定する
まず気持ちを受け止める言葉をかける
要望への対応 すべてに応えようとする できないこと・できることを分けて伝える
介護の姿勢 完璧をめざす 6割〜7割できれば十分と考える
自分のケア ひとりで抱え込む 小さな息抜きの時間を意識して作る

気持ちに寄り添いながらも、できる範囲を無理なく線引きすることが、長く穏やかに介護を続けるための鍵になります。

正論より気持ちを受け止める

親から理不尽に思える言葉を投げかけられると、つい正論で言い返したくなります。ただ、正しさを主張しても、相手の気持ちが収まるとは限りません。「そう思ったのね」「嫌だったね」と、まず気持ちを受け止める言葉をかけるだけで、相手の態度が和らぐことがあります。

声かけの言い換え例
場面 NG(正論・否定) GOOD(共感・需要)
同じ話を繰り返すとき さっきも言ったでしょ! そうだったね、もう一度お話するね
何度も同じことを聞く 何回聞けば気が済むの! 気になるんだね、もう一度確認しようか
危険な行動をしたとき どうしてそんなことするの! びっくりしたよ、何かあったのかな
着替えを嫌がるとき 早くして!いつまでやってるの 着替えるの、嫌だったんだね。面倒だよね。手伝うから、着替えて気持ちよくなろうね
よくわからない不安を何度も口にする 意味がわからない!
大丈夫だって言ってるでしょ!
不安なんだね、心配なのね、そばにいるから大丈夫よ

なるべく、共感や受け止める形の声かけにできるといいのですが、毎日の介護の場面ではそこまで気が回らないこともあるかもしれません。

時には深く考えずに「ああ、そうだね」「うんうん、わかるよ」と反射的に答えてしまうのでもいいではありませんか。介護以外の場面でも、忙しい時など誰でもそんな対応をすることはありますよね。生活は、日々続きます。聞き流しながらあいづちをうつだけの時があっても、いいのです。

できること・できないことを伝える

すべての要望に応えようとすると、介護をする側の負担がふくらみ続けてしまいます。「今日はここまでならできる」「これは難しいけれど、代わりにこうしよう」と、できることとできないことを分けて、穏やかに伝えることも大切です。

完璧な介護をめざさない

真面目な人ほど、すべてを完璧にこなそうとしてしまいがちです。しかし、介護に正解はなく、状況も日によって変わります。6割、7割できれば十分と考え、できなかった日があっても自分を責めないようにしましょう。

ストレスをためない小さな習慣

ストレスをためないために、自分にとっての楽しい時間、気分転換の時間を大事にしましょう。好きなドラマを見るのでもいい、週に1度仲間とお茶を飲む、趣味の手芸をする、カラオケで思いっきり歌う、推し活だっていいし、いったん「介護」から離れて、「自分」のための時間を持ちましょう。

とはいえ、なかなか、まとまった時間は作れないこともあるかもしれません。

短い時間でも、好きな飲み物を飲む、外の空気を吸う、誰かと話すといった小さな息抜きを日常に取り入れることが、怒りをためこまないことにつながります。移動中の数分や、家事の合間のひと息でも十分な効果があります。

さらに、デイサービス(日帰りで施設で過ごす)の活用も考えてみましょう。お昼ご飯や入浴等のケアもしてくれるデイサービスなら、介護をする方も1日ゆっくり休めます。

限界を感じる前に頼れる相談先・支援サービス

介護のイライラや怒りは、家族だけ、ひとりだけで抱え込む必要はありません。専門家や外部のサービスを頼ることも、介護を続けるための大切な選択肢です。

外部の力を借りることは、決して親不孝でも介護の放棄でもありません。介護をする人とされる人が、これから先も笑顔で過ごせる時間を増やすための、前向きな選択のひとつです。「まだ頑張れる」と抱え込み続けるよりも、専門家や施設の力を上手に取り入れたほうが、結果として親子の関係も穏やかに保たれます。ひとりで背負わず、頼れるところに早めに頼っておくことが、長く笑顔で介護と向き合うための近道になります。

相談先 主な相談内容 特徴
地域包括支援センター 介護の悩み全般
制度の使い方
無料
市区町村ごとに設置
ケアマネジャー サービスの調整
日々の困りごと
担当者に継続的に相談できる
こころの耳
(厚生労働省)
こころの不調・ストレス
働きながら介護をする方に
働く方やその家族向けの窓口
よりそいホットライン 暮らしの困りごとや悩みを
聞いてくれる
全国どこからでも
生活の悩みも相談できる
介護サービス
(デイサービス等)
一時的な負担の軽減 介護から離れる時間を作れる

家族だけで、ひとりで抱え込まない

介護の悩みは、家族の中だけで解決しようとすると、視野が狭くなりがちです。第三者の視点が入ることで、思いがけない解決策が見つかることもあります。

地域包括支援センターを活用する

地域包括支援センターには、保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門職がいて、相談内容に応じた解決策の提案や、必要な手続きの手伝いをしてくれます。介護保険の申請をしていない段階でも相談でき、費用もかかりません。ひとりで悩む前に、まずは電話をしてみるだけでも気持ちが軽くなります。

ケアマネジャーへ相談する

介護サービスを利用している場合は、担当のケアマネジャーに日々の困りごとを相談してみましょう。サービスの内容や利用回数を見直すことで、負担が軽くなる場合があります。

こころの耳など心の相談窓口を利用する

厚生労働省が運営する「こころの耳」は、働く方とその家族に向けたメンタルヘルスの相談窓口です。仕事と介護を両立している場合、心の不調を感じたときの相談先のひとつとして知っておくと安心です。他にも、よりそいホットラインなど、暮らしの悩みを電話で話したり、チャットで伝えたりできる窓口もあります。「誰にも話せない」と抱え込まず、誰かに思いを聞いてもらうことも考えてみましょう。

介護サービスを上手に利用する

デイサービス(通所介護)とは、介護が必要な高齢者が日帰りで施設に通い、食事・入浴・機能訓練・レクリエーションなどのサービスを受けることです。デイサービスには、半日・1日、送迎つきなどいろいろあります。

介護される方は、同世代のお仲間と出会い、介護を専門とする方のサポートを受けて、良い刺激を受けることが多くあります。そして介護する方にとっては、その間、ゆっくり休憩をとったり、気分転換をしたりする時間を確保できます。

お互いの「モヤモヤ」「イライラ」を解消し、穏やかな自宅生活を送るために、こうした外部の力を借りることもとても重要です。

ALSOKジョイライフのデイサービスを詳しく知りたい方はこちら

介護アンガーマネジメントのまとめ|怒りとの向き合い方

介護では、思うようにいかないことが重なり、イライラや怒りを感じるのは決して特別なことではありません。我慢を続けていると、その感情は少しずつ積み重なり、気づかないうちに心身の限界を迎えてしまうこともあります。
  • 6秒ルールやタイムアウトで、怒りのピークをやり過ごす
  • 正論よりも、まず相手の気持ちを受け止める
  • できること・できないことを線引きし、完璧をめざさない
  • 地域包括支援センターやケアマネジャーなど、外部の力を頼る

こうした工夫を、できることからひとつずつ取り入れてみてください。すべてを一度に実践する必要はなく、今の自分に合いそうなものから試してみるだけで十分です。

介護をする人も、介護をされる人も、お互いにつらい気持ちを抱え込みすぎないことが大切です。時には介護する人自身が休息をとり、周囲の力を借りながら自分の心をケアすることも、長く穏やかに介護を続けるための大切な一歩になります。そして、疲れ果ててしまい、怒りをコントロールできないと感じたら、デイサービスなどを利用することも考えてみましょう。介護を受ける方が必要なサポートを受けながら、介護する方もまとまった時間、自分のために過ごしたり、ゆっくり休んだりする時間をつくることが大切です。

イライラや怒りを感じた自分を責めるのではなく、そう感じるくらい日々がんばっているのだと、自分をねぎらってあげてください。