心身を活性化させる“アクティビティ”の秘密

有料老人ホームの特徴のひとつに「アクティビティの充実」を挙げる施設が増えています。アクティビティとはホームで行われるレクリエーション。ゲームや散歩、イベントといった活動を通じ、その方が持つ心身の機能を有効に活かす手助けをします。また最近では“機能訓練”をアクティビティに取り入れたホームも登場しており、「ユトリーム箕面桜ヶ丘」でもアクティビティの充実に取り組んでいます。今回は当ホームで機能訓練の指導・監修に携わる作業療法士に話を聞きました。

 

“機能訓練”は集団で行うことに意味がある

——機能訓練とはどのようなものですか？
ケガや病気、加齢などにより損なわれた心身の機能回復や、疾患予防などを目的に行う訓練のことです。歩行訓練や筋力トレーニングといった運動が、理学療法士や作業療法士などの資格を持った専門家の指導のもと行われます。

——理学療法士と作業療法士はどう違うのでしょうか。
座る、立つといった基本的な動作ができるようにリハビリを行うのが理学療法士で「動作の専門家」とも呼ばれています。一方、日常生活を送る上で必要な機能回復をサポートするのが作業療法士。たとえば、高齢者の方が指を動かせたとしても、お箸を持てるとは限りません。作業療法士は「お箸を持って食事ができるよう指の運動をしましょう」というように体を動かす先にある活動に着目しながらリハビリを行います。また精神面のリハビリにも対応しており、たとえばうつ症状をお持ちの方には、お話を聞いたり、心が落ち着くような作業に導くなど、心理面に配慮しながらサポートしています。

——機能訓練を集団で行うメリットとは？
機能訓練には2種類あり、一人ひとりの身体状況に応じたメニューを作成し、個別に行うのが個別機能訓練です。これを複数で行うのが集団機能訓練ですが、集団で行うことで励まし合ったり競争心をくすぐったりと、心理面に働きかける効果も大きいです。そうした人と人との関わり合いは、生活におけるハリを生み、生活機能の維持・向上にも結びつきます。機能訓練は集団で行うことでより大きな成果が得られると考えています。

——指導する際のポイントはありますか？
運動はやり方を間違えると健康を害する可能性があります。たとえば、運動しているとき息を止めると、血圧の上昇などを招く恐れがある。ですから「絶対に息を止めないでくださいね」と声かけしながら進めています。また、筋肉を動かすとき、それがどんなふうに役立つか都度お伝えするようにしています。意識するとそこに神経細胞が集まり、筋肉の活動を活発にします。気持ちにより得られる効果が変わることも知っていただきたいですね。

 

機能訓練とレクリエーションの連動で高い効果をめざす

「ユトリーム箕面桜ヶ丘」では、作業療法士に指導を受けたスタッフが、集団機能訓練を日々運営。よりよい効果が得られるようプログラムも試行錯誤を重ねています。これについて西村誉代副支配人は「当ホームでは機能訓練とレクリエーションを連動させたプログラムを構成しています。たとえば機能訓練で頭や口を動かした日はレクレーションではカラオケを、腕や肩を使った日は玉入れをという具合に、機能訓練でほぐれた部分を引き続き使うことで、スムーズな機能向上をめざしています」。プログラムも、頭、腕、肩・・・と曜日ごとにテーマを設定するなど、ご入居者さまを飽きさせない工夫もしています。
「ユトリーム箕面桜ヶ丘では、ご入居者さまの個々のニーズに合ったレクリエーションやパーソナルケア、さらには認知症ケアなど、さまざまなアクティビティメニューをご提供しています。その方に合ったご支援で、ご自宅にいたときより元気になっていただきたい。そんな気持ちで、一同、心を込めてサポートしています」と西村副支配人。集団機能訓練はそんなホームの取り組みの一例であり、ご入居者さまのお声を拝聴しながら、さらなる充実を図っています。

 

西垣作業療法士に教えてもらいました！ 転倒予防体操「股関節屈曲」

太ももの付け根の筋を働かせることで、立ち座り時のバランスが向上。歩行や移乗時の安定性も向上します。
①椅子に浅く腰掛ける。

②椅子の座面を持ち（できる人は持たなくてもOK）、太ももを3秒かけて上げる。上げた状態で5秒保持し、5秒かけて下ろす。 

＜注意＞ 太ももを上げた際、体が仰け反らないようにしましょう。
☆普段の立ち座りを意識して行うだけでも効果あり！（「ヨイショ」は言った方が力が抜けるのでドンドン言ってください！）