高齢者の認知症予防に!「脳トレ・体操・腸活」で楽しく元気な毎日を
『認知症なんて、まだ若いから関係ない』このように思っていませんか?
しかし、2025年には65歳以上の約5人に1人が認知症になると予測されており、決して他人事ではありません。認知症は根本的な治療法がないため、症状を遅らせる、発症リスクを下げるなどの予防が重要です。
この記事では、認知症の予防に効果的で、日々の生活に取り入れやすいトレーニングについてご紹介します。早めの認知症予防が、より豊かな老後を送るためのカギとなります。ぜひ参考にしてください。
認知症はトレーニングで予防できる?
認知症とは、脳の神経細胞の働きが低下し、認知機能が衰えたことで、自立した生活が難しくなる状態を指します。
一般的に、脳の神経は加齢とともに減少し、脳は委縮するとされています。脳も、骨や筋肉と同じで、使わないと衰えたり委縮したりするのです。認知症を予防するには、脳に刺激を与えて、鍛えることが重要になります。
脳を鍛えるのは難しそうに思えますが、日常生活の中で手軽にできるトレーニングはたくさんあります。「脳トレ」や「体操」「腸活」も、その一つです。
認知症予防に効果的なトレーニング①脳トレ
自分の頭で考えたり、新しいことに挑戦したりする脳トレは、脳を活性化させ、認知症予防に効果的です。脳トレの種類はさまざまですが、代表的なものとして以下のようなものがあります。
脳トレ(一例)
- 計算問題
- パズル(数独、クロスワード)
- 語学学習
- 楽器演奏
- 手芸・編み物
- 料理
脳は、その人が興味を持っていることや楽しいと感じることに対して、より活発に働くようにできています。そのため、興味のないことを無理に続けても、脳にとって良い刺激になりません。反対に、ストレスになって逆効果になる恐れがあります。
おすすめ脳トレ|市販の脳トレドリル
計算問題や漢字ドリルなどの学習は脳に刺激を与えるので、認知症予防に最適です。しかし、これらの学習をただ単に繰り返すだけでは、すぐに飽きてしまい、長続きしないという人も少なくありません。そこでおすすめなのが、市販の脳トレドリルです。
市販の脳トレドリルは、楽しく取り組めるように工夫されているので、飽きずに続けられるというメリットがあります。
思考力アップ |
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記憶力アップ |
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注意力アップ |
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判断力アップ |
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脳トレドリルは、毎日少しずつでも続けることが効果を出す秘訣です。難しい問題を無理に解こうとするとストレスになりやすいもの。自分に合ったレベルの問題に楽しく取り組みましょう。
おすすめ脳トレ|1日遅れ日記
日記を書く人は脳の健康寿命が長い傾向にあることが、複数の研究により示唆されています。日記は夜の就寝前に書くという人が多いですが、認知症の予防効果をより高めるには、翌朝に前日の出来事を思い出して日記をつける「1日遅れ日記」がおすすめです。
「1日遅れ日記」を書くには、記憶を引き出したり、具体的に思い浮かべたりする必要があります。そのため、イメージを司る右脳の働きが高まり、思い出す力が鍛えられ、脳がより活性化すると考えられます。
「1日遅れ日記」は、午前中のうちに書くのがポイントです。まずは、前の日の朝・昼・晩の食事の内容を思い出して書きましょう。慣れてきたら、「嬉しかったこと」や「楽しかったこと」など、前向きな出来事を1〜3行で書くといいでしょう。
おすすめ脳トレ|対戦ゲーム(麻雀・囲碁・将棋)
麻雀や囲碁、将棋など、対戦相手がいるゲームは、認知症予防におすすめです。相手との駆け引きの中で最善の手を考えたり、相手の次の手を予測したりするなど、脳の機能を同時に使うため、脳全体を活性化させるからです。
さらに、対戦相手との会話を通じてコミュニケーション能力を高めることもできます。会話は、単なる言葉のやり取りではありません。相手の意図を理解したり、自分の考えを伝えたりするなど、高度な脳の働きを必要とします。また、ゲームで勝つことで得られる達成感は、やる気を高めるドーパミン分泌を促すことから、継続してゲームを楽しむモチベーションにつながるでしょう。対戦ゲームは、「楽しみながら認知症予防をしたい」という人に特にぴったりのトレーニングです。
認知症予防に効果的なトレーニング②体操
認知症予防には、脳トレだけでなく、体を動かすこともとても大切です。体操などの軽い運動を習慣化することで、脳の健康を維持し、より豊かな生活を送ることができます。
なぜなら、運動することで脳への血流が改善されると、神経細胞が活性化して脳の働きが活発になるからです。また、運動にはストレスを軽減する効果があります。ストレスは脳の健康に悪影響を及ぼすため、ストレスを解消することは認知症予防効果につながるといえるでしょう。
しかし、激しい運動はケガのリスクが高まるため、体操がおすすめです。ここでは、自宅でできる簡単な体操を3つご紹介します。
おすすめ体操|足踏みコグニサイズ
コグニサイズは、国立長寿医療研究センターが認知症予防を目的に開発した運動です。
やり方
両足を揃えて背筋を伸ばして立ち、リズミカルに足踏みをしながら、足踏みの数を声に出して数える。3の倍数の時は、声に出さずに数え、手をたたく。
- 左足で「1」、右足で「2」と声を出して足踏みをしながら数える
- 左足で「3」と声を出さずに数え、手をたたく
数を数えながら足踏みをすることで、脳の活性化を促します。足踏みは、お尻や太ももの筋肉が鍛えられ、認知症のリスク要因であるフレイル予防にもなります。
おすすめ体操|グーパー体操
グーパー体操は、立った状態でも座った状態でも行える体操です。体への負担が少ないので、どなたでも気軽に始められます。
やり方
椅子に座るか、立った状態で姿勢を整える。パーを胸に当て、もう一方の手をグーにして前に伸ばす。胸に当てる手がパー、伸ばす手がグーになるように、パーとグーを交互に行う。
- 前に伸ばす手「グー」、胸の前の手「パー」
- 前に伸ばす手「パー」、胸の前の手「グー」
- また 01.に戻し、左右の手をチェンジして繰り返し10回行う
前に伸ばした手は、胸の高さでしっかりと伸ばすのがポイントです。間違えてもいいので、繰り返し10回行いましょう。
おすすめ体操|膝伸ばし
膝伸ばしは、椅子に座ったままできる体操です。カウントしながら膝を伸ばしたり戻したりすることで、太ももの筋肉と脳を鍛えることができます。
やり方
姿勢を正して椅子に座り、1〜4のカウントで膝を伸ばしていき、5〜8のカウントで元に戻す。足を伸ばすときは、つま先が上を向くようにする。
- 1~4のカウントをしながら、膝を伸ばしていく
- 5~8のカウントをしながら、伸ばした膝を戻していく
- 右足、左足の順番に5回ずつ、1セット行う
できるだけまっすぐ座り、腰が丸くならないように行いましょう。
認知症予防に効果的なトレーニング③腸活
「腸活」とは、腸内環境を整える取り組みのことです。腸は「第二の脳」と呼ばれるほど、脳と密接な関係を持っています。近年の研究では、腸内細菌のバランスが認知症に影響していることがわかりました。
腸内には数多くの細菌が住んでおり、これらの細菌は腸内環境だけでなく、記憶力や学習脳力に影響を与える神経伝達物質の生成など、さまざまな身体機能に関わっています。
また、腸内には体の免疫機能を担う免疫細胞の7割が存在し、「腸管免疫」と呼ばれる免疫システムをつくっています。腸活は、腸内の状態を良好に保つことで、神経伝達物質のバランスを改善や免疫力の向上を目指し、認知症予防につながると考えられます。
善玉菌を多く含む食品(一例)
- ヨーグルト
- チーズ
- 乳酸飲料
- 納豆
- 漬物
- 味噌
ヨーグルトは、バナナ、パイナップル、リンゴなどの果物と組み合わせると、善玉菌がさらに増え、免疫力のアップが期待できます。ほかにも、キノコ類、豆類、ごぼう、大麦など食物繊維を多く含むもの、玉ねぎ、ニンニク、ねぎ、大豆などオリゴ糖を多く含むものを積極的に摂ることで、善玉菌を増やすことができます。
おすすめ腸活|腸を鍛える簡単ストレッチ
腸を鍛えるには、座ったままでできる振り返りストレッチもおすすめです。
やり方
- 椅子に浅めに座り、脚を肩幅ぐらいに広げる。
- 足の裏を床につけ、息を大きく吐きながらゆっくり後ろを振り返り、両手で背もたれをつかむ。
- その姿勢のまま2〜3回呼吸し、元の姿勢に戻る(左右交互に3セット)。
まとめ
この記事では、認知症予防の効果が期待できる3つのトレーニングについてご紹介しました。いずれのトレーニングも、継続して行うことが大切です。まずは、無理なく続けられるように、少しずつ始めてみましょう。自分に合ったトレーニングを選び、楽しく続けることが理想的です。トレーニングや認知症について、不安な点がある人は、かかりつけ医に相談してから始めるといいでしょう。
参考