サイト内検索
介護のお役立ち情報
  1. トップページ
  2. 介護のお役立ち情報
  3. 噛む、飲み込むが難しい人に向けた家庭でできる介護食の作り方。調理のポイント・時短の工夫まで紹介

噛む、飲み込むが難しい人に向けた家庭でできる介護食の作り方。調理のポイント・時短の工夫まで紹介

高齢のご家族の食事について、「むせやすくなった」「硬いものが食べにくそう」と心配されていませんか。介護食は、噛む力や飲み込む力が低下した方でも、安全においしく食事を楽しむための工夫が詰まった食事です。この記事では、介護食の基本的な知識から、ご家庭で実践できる作り方のコツ、毎日の負担を軽くする時短テクニックまでを丁寧に解説します。介護食の基礎から一緒に学んでいきましょう。

介護食とは?必要性と基礎知識をわかりやすく解説

介護食の定義と目的

介護食とは、加齢などにより噛む力(咀嚼機能)や飲み込む力(嚥下機能)が低下した方のために、食べやすく調理された食事のことです。公益財団法人長寿科学振興財団によれば、介護食は「食べる機能が低下した方に提供するお食事」と説明しています。

介護食の目的は、大きく分けて次の4つがあります。

  • 安全性の確保:誤嚥(食べ物が気管に入ること)や窒息を防ぐ
  • 食べやすさの実現:噛む力や飲み込む力に合わせた形態にする
  • 食事の楽しみの維持:見た目や味わいを大切にし、食事の満足感を保つ
  • QOL(生活の質)の向上:栄養をしっかり摂ることで、健康と活力を維持する

安全性の確保が何より重要です。一方で食事はいくつになっても「楽しみ」でもあることも、心に留めておいてください。

高齢者の食事で起こる変化

年齢を重ねると、身体にはさまざまな変化が現れます。たとえば、歯の数が少なくなったり、入れ歯の不具合によって噛む力が弱くなったり、あるいは唾液の分泌量が減少して食べ物を飲み込みにくくなったりします。厚生労働省の「口腔機能向上マニュアル」でも、高齢者の口腔機能の低下が栄養摂取や生活の質に大きく影響することが指摘されています。

さらに、味覚の変化や食欲の低下、消化機能の衰えなども起こりやすくなります。そのため、通常の食事では食べづらさを感じたり、十分な栄養が摂れなくなったりする場合があります。介護食は、このような変化に対応し、安全かつ楽しく食事ができるようにサポートする重要な役割を担っています。

噛む力・飲み込む力に合わせた介護食の種類と選び方

介護食にはいくつかの種類があり、食べる方の状態に合わせて選ぶことが大切です。ここでは代表的な介護食の種類をご紹介します。

  • 刻み食 
    通常の食事を細かく刻んだもので、噛む力が少し弱くなった方に適しています。食材の形が残っているため、見た目でも何を食べているかがわかりやすく、食事の楽しみを保ちやすい形態です。
  • ソフト食
    食材を軟らかく調理したもので、舌で押しつぶせる程度の固さに仕上げます。噛む力がかなり弱くなった方でも食べやすく、形が残っているため見た目の満足感もあります。
  • ミキサー食・ペースト食
    食材をミキサーにかけてなめらかなペースト状にしたものです。噛む力がほとんどない方や、飲み込む力が弱い方に適しています。とろみをつけて飲み込みやすくする工夫も重要です。
  • ゼリー食
    食材をゼリー状に固めたもので、形が崩れにくく、口の中でまとまりやすいのが特徴です。飲み込む力が弱い方でも比較的安全に食べられます。

適切な介護食の選び方

介護食の選択は、食べる方の状態を正しく把握することから始まります。しかし、素人判断だけで決めるのは危険です。必ずかかりつけ医や歯科医、管理栄養士、言語聴覚士などの専門家に相談し、最適な介護食の形態を判断してもらいましょう。

家庭で実践!介護食を作る基本のコツと調理法

やわらかくする調理方法

介護食作りの基本は、食材を食べやすい柔らかさにすることです。

  • 食材を小さめに切って、じっくり煮込む
  • 圧力鍋を使って短時間で軟らかくする
  • 繊維質の多い野菜は、繊維を断ち切るように切る
  • 肉類は、下味をつけて叩いたり、片栗粉をまぶしたりして軟らかくする

煮込み料理は、食材がしっかりやわらかくなるまで時間をかけることが大切です。指で軽く押すとつぶれるくらいが目安になります。

たとえば、じゃがいもは家族であれば蒸したり焼いたりしただけでも問題なく食べられますが、高齢者にとってはホクホクした食感が飲み込みにくいことがあります。そこで、しっかりやわらかく煮てつぶしたり、ポタージュにしたりすると、ぐっと食べやすくなります。栄養があり、料理に使いやすい食材だからこそ、少しの工夫で無理なく取り入れられます。

誤嚥を防ぐ工夫

誤嚥は命に関わる危険があるため、細心の注意が必要です。誤嚥を防ぐための工夫として、以下の点を意識しましょう。

  • 片栗粉やとろみ剤を使って、適度なとろみをつける
  • パサパサした食材は避けるか、あんかけにする
  • 水分の多い料理には、とろみをつけて飲み込みやすくする
  • バラバラになりやすい食材は、つなぎを使ってまとめる

とろみの濃度は、召し上がる方の状態に応じて適切に調整することが大切です。濃すぎると、とろみは飲み込みにくく、必要な水分摂取量が不足してしまう可能性があるため注意しましょう。

栄養バランスの確保

食べやすさを優先するあまり、栄養が偏ってしまわないよう注意が必要です。

特に高齢者は、たんぱく質不足による筋力低下(サルコペニア)や、低栄養状態になりやすいため、肉や魚、卵、大豆製品などのたんぱく質をしっかり摂ることが重要です。また、ビタミンやミネラル、食物繊維も意識して取り入れましょう。

栄養バランスを意識することは、介護が必要な方だけでなく、家族全員の健康づくりにもつながります。とはいえ、1食ごとに完璧をめざす必要はありません。医師などから指示を受けていないのであれば、2〜3日ほどの単位で必要な栄養素を取り入れていく、そんなゆるやかな考え方で進めていきましょう。

食欲を刺激する工夫

介護食というと、どうしても見た目が単調になりがちです。しかし、視覚や香りは食欲を大きく左右します。

  • 彩りを意識して、赤・黄・緑などの色鮮やかな食材を使う
  • 香りの良い食材(ゆず、しょうが、ハーブなど)を活用する
  • 盛り付けを工夫して、見た目にも美しく仕上げる
  • 温かいものは温かく、冷たいものは冷たく提供する

食事は栄養を摂るだけでなく、心の満足も大切です。おいしそうな見た目や良い香りは、食事への意欲を高めてくれます。

噛みにくい・飲み込みにくい食材と改善方法

一部の食材は、介護食には不向きな場合があります。注意が必要な食材と、その対処法をご紹介します。

  • 餅や団子
    お餅や団子は粘着性が高く、喉に詰まりやすいため、基本的には避けたほうがよいでしょう。たとえば、お汁粉なら「お麩」を代用したり、最近は介護食用のお餅も販売されていますから、活用してみてはいかがでしょう。
  • こんにゃく、海藻類
    弾力があり噛み切りにくいため、細かく刻むか避けるのが安全です。
  • パンやカステラ
    パサパサして口の中でまとまりにくいため、牛乳やスープに浸して軟らかくします。
  • 生野菜
    硬くて噛みにくい場合は、加熱して軟らかくするか、すりおろして使います。
  • 繊維の多い野菜(ごぼう、れんこんなど)
    よく煮込んで軟らかくするか、ペースト状にします。

食材選びと調理法の工夫で、多くの食材を安全に楽しむことができます。

毎日続けられる!介護食の作り置き・時短テクニック

介護食作りは、毎日のこととなると大きな負担になることもあります。ここでは、調理する側の負担を減らしながら、おいしい介護食を用意するコツをご紹介します。

「ついで料理」の作り置きメリット

介護食の作り置きには、多くのメリットがあります。

  • 毎食調理する手間が省ける
  • 時間に余裕があるときにまとめて作れる
  • 複数の料理を同時に作れて効率的
  • 食材を無駄なく使い切れる

介護をしながら仕事や家事をこなす方にとって、作り置きは心強い味方になります。週末にまとめて作る方法もありますが、それ自体が負担になってしまうこともあるかもしれません。

そこで役立つのが「ついで調理」です。たとえば、ほうれん草のおひたしを作るときに、少し取り分けてペースト状にしておくなど、日々の調理の延長で介護食をひと品増やしておくと、無理なく続けられます。

冷凍保存のコツ

作り置きした介護食は、適切に冷凍保存することで長期間保存できますが、ご家庭では2週間を目安に食べきるようにしましょう。

  • 小分けにして、1食分ずつ冷凍する
  • 密閉容器やジッパー付き保存袋に入れ、空気をしっかり抜く
  • 冷凍した日付と内容を書いたラベルを貼る
  • 解凍は冷蔵庫でゆっくり、または電子レンジで加熱する
  • 再冷凍は避け、解凍したものはその日のうちに食べ切る

ペースト状の介護食は、製氷皿に入れて冷凍すると、小分けにしやすく便利です。なお、食材や料理によって冷凍の方法が変わります。基本的には「冷凍したから、大丈夫」ではなく、なるべく早く食べきるようにしましょう。

衛生管理の徹底

介護食は、高齢者の体調や免疫力を考慮して、特に衛生面に気を配る必要があります。

  • 調理前は必ず手を洗い、清潔な調理器具を使う
  • 加熱は中心部まで十分に行う(75度以上で1分以上が目安)
  • 作った料理は速やかに冷まし、冷蔵または冷凍する
  • 保存期間を守り、少しでも異変を感じたら食べない

特にペースト食やミキサー食は、表面積が大きく雑菌が繁殖しやすいため、より慎重な管理が求められます。

時短調理のアイデア

介護食作りも、工夫次第で時間を大幅に短縮できます。

家族の食事と一緒に作る

味付けや刻み方を少し変えるだけで、家族の食事と同時に介護食を用意できます。たとえば、煮物は家族用に取り分けたあと、残りを介護食向けにさらにやわらかく煮込むと効率的です。かぼちゃの煮物を作った際に、一部をペースト状にするのも手軽な方法です。

野菜たっぷりのスープを作り、家族はそのまま楽しみ、介護食用にはすりつぶしてポタージュのように仕上げることもできます。ひとつの料理をベースに、家族それぞれに合わせた形へアレンジしていけます。

電子レンジの活用

野菜を軟らかくしたり、冷凍した介護食を温めたりするのに便利です。短時間で調理でき、栄養素の損失も少なくなります。

市販品の活用

レトルトの介護食や、とろみ調整食品、栄養補助食品なども上手に取り入れましょう。すべてを手作りにこだわらず、市販品と組み合わせることで、バリエーションも広がります。

気負わずに「毎日の食事づくり」をしましょう

介護食は「大変そう」と思われがちですが、特別なことばかりではありません。日頃の食事づくりで自然に行っている工夫を、そのまま介護食にも生かせます。たとえば、ごはんをまとめて炊いて1食分ずつ冷凍しておいたり、余ったハンバーグを冷凍してお弁当に回したりすることがありますよね。そうした日常の“ひと手間”と同じ感覚で、介護食も負担をかけずに準備できます。

キッチンに立ったついでに、ひとつふたつ作っておくことも、負担を大きくせずに介護食を用意するコツです。また、私たちが日常でお惣菜を買ったりコンビニを利用したりするように、「今日は疲れた」という日には市販品を上手に活用するのもおすすめです。

宅配サービスや配食サービスの活用

近年は、介護食専門の宅配サービスも充実しています。冷凍で届く介護食セットや、毎日配達してくれる配食サービスなど、さまざまな選択肢があります。

これらのサービスは、栄養管理がされており、メニューも豊富です。「毎日すべて手作りしなければ」と思い詰めず、便利なサービスも選択肢に入れることで、介護する側の負担を大きく軽減できます。体調が優れない日や忙しい時期に利用しましょう。

こうした工夫を取り入れれば、介護食づくりも無理なく、毎日の生活に合わせて続けやすくなります。

まとめ

介護食は、噛む力や飲み込む力が低下した方でも、安全においしく食事を楽しむための大切な工夫です。

何歳になっても、たとえ噛む力が落ちても、おいしくご飯をいただくことは、人生の大きな喜びであり、生きる活力の源です。介護食は、その喜びを支えるかけがえのないものです。無理をせず、できる範囲で、食べる方も作る方も笑顔でいられる食事の時間を大切にしていきましょう。